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訪間看護ステーション千代田から23]

 

思いやりの心を届けて

ヘルパー 村尾逸子

私は、LPCのホームヘルパー養成研修2級課程を修了して6年目になります。地元の福祉公社の協力会員として、訪問看護ステーションのナースと一緒に清拭・入浴介助・移動・シーツ交換などをする機会がありました。看護・介護の違いはあっても利用者さんに対する思いは同じです。ナースの利用者さんへの声かけ、接し方のひとつひとつが勉強になりました。ですから訪問看護ステーション千代田が開設し、ヘルパーを募集していることを知り、すぐに申し込みました。

はじめて利用者さんを訪問する時は、2〜3日前から「どんな方かしら。仲良くやっていけるかな」となんとなく落ちつかない気分になります。もしかするとヘルパーだけでなく、利用者さんもそんな思いで待っていてくださるのかもしれません。初回訪問で「おとうさん、私この人、気にいったよ」と言ってくださったNさんの言葉は、私の心をほっとさせると同時に、これから仲良く過ごせると感じられました。人工透析を30年来続けてきたNさんは、常時、上の血圧が60〜70mmHgで、ベッドに横になっても頭が重く感じるようです。今まで大変な精神力で過ごされてきたと思います。Nさんの訪問はナースが週2日、ヘルパーは4目です。ナースと協働する時間が30〜40分あります。Nさんの楽しみは自宅での入浴です。体調をみながら、ナースと共に入浴介助をします。ナースがNさんの体を支えて歩く後ろを、車いすを押して浴室までついていきます。浴槽内でご自分で体をこすっているNさんの様子は、ごく自然な日常の姿で、一番ゆったりとした時間かもしれません。介護者は利用者さんがおだやかな気持ちで過ごせるよう、心にそうことが大切だと思います。訪問先で足浴をすると、どなたも「いい気持ち」と喜んでくださいます。お湯とマッサージをする手のぬくもりで、やさしさがプラスされるのでしょうか。

私はヘルパーとして質の向上の手助けをしてくださるのが、利用者さんの言葉だと思っています。

ヘルパーの活動を始めてまもない頃は入れ歯をきれいにすることが苦手でした。口腔内の清潔は大切なことですが、一歩あとずさりする気分でした。そんな私をかえてくださったのは「お見苦しいものをすみません」と書かれたSさんの言葉でした。短い文章にSさんの自分でしたいけれどできない気持ちがあふれていました。今では気軽に「歯みがきしましょう」と声かけができます。私を一歩前進させてくださったSさんに感謝しています。

片山所長は「利用者さんとのよい関わりを通し、喜び、嬉しさをみつけてほしい」と学習会で言われました。介護の技術が上手でも心がこもっていなければ、利用者さんは良い気分になれません。下手でも利用者さんはヘルパーの心をみています。お互いに信頼し、そのふれあいの積み重ねがヘルパーを成長させてくださいます。

今はLPCと連携する「葉っぱのフレディ・ヘルパーセンター」に登録し、活動しています。ここは開設して半年ですが、LPCのホームヘルパー養成研修2級課程を修了し、さまざまな講義を通して、日野原先生はじめ大勢の方から心を大切に考えた介護を学んできたスタッフばかりです。葉っぱのフレディの仲間が増えることは、利用者さんにもっとたくさんの思いやりの心をお届けできることです。ぜひご一緒に活動しませんか。

 

 

 

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