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尿もれ患者の受診率は、スウェーデンで25%、オーストラリアで30%、アメリカ合衆国で50%であったとHollo(1989)は述べています。わが国での尿もれ患者の受診率は7〜10%です(1990)。欧米とわが国との間の受診率の差は、わが国で尿もれで一人悩んでいる潜在患者の多いことを示しています。

最近、“日々の生活の質的向上(QOL=quality of life)”という言葉がよく使われるようになりました。日常生活をいかに有意義に過ごすかということは、高齢になればなるほどたいせつになります。もしも尿もれが原因で日常生活が制限されているなら、それらの人のために“尿もれ対策”をたてて快適な日々を過ごせるように援助する必要があります。このためには、医師や看護婦、介護福祉士、それにこの分野に興味をもつコメディカルの人たちを対象とした専門的で系統的な“尿もれ対策”の教育が必要となります。的確な“尿もれ対策”を行えば、70〜80%の人で尿もれは軽減するかあるいは治るという事実を患者に伝え、医療従事者が患者さんとともに根気よく治療にのぞむことがたいせつなのです。

 

 

 

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