いまや、科学的な根拠をベースとしたEBMが流行しつつありますが、EBMのエッセンスには、決して新しいものだけでなく、古きよき伝統があり、それを選別して次の世代に引き継ぐという作業も含まれていることを忘れてはなりません。古い中国の言葉に「温故知新」とありますが、これを実践することが私たちのミッション(使命)だと思います。
最後にお見せするのは、英国の医学雑誌『ランセット』の小児科特集号の表紙です(図6)。椅子の上にズボンを引き上げながら立っている子どもが、世話になっているおじいさんの開業医の医籍登録書を見ています。医師と患者とがこのような純な関係でかかわり合っていく中で、子どもは自分も大きくなったらこのおじいさんのような家庭医になろうと思っているのかもしれません。
21世紀においても、伝え遺すべきものを大切にして、EBMがPOSの世界の中で賢く活用されることを祈念します。