私が皆さんにお話ししたいことは、医療者の目指すべきゴールについてです。
1915年、エルンスト・ゴートマンという外科医、彼は病院機構の審査機関をはじめて作った人ですが、このように言っています。「われわれ外科医としては、患者に役に立つことをすべきである」と。その役に立つということは、患者に志向した記録システムを実践することです。患者の問題志向または患者志向とは、患者にもたらされる結果、すなわちアウトカム(outcome)を重要視することです。具体的には、そのアウトカムを目標として、患者のQOLを高めること、そして患者が意義のある人生をどう過ごすかということに焦点を当てて医療の場で行動すること、それが臨床に携わる私たちに求められていることだと考えます。
むすび
西暦2000年の幕が開こうとしています。私が皆さんに申し上げたいことをまとめてみましょう。
「知恵と同化したヒューマニティがヘルスのアートとして、いつまでも発展を続けることを私は期待する。このシステムを誰がサイエンスとして、またアートとして発展させていくのか。
仰ぐべき山が雲の彼方に存在することを信じて、私たちは共に歩み続けよう」
私たちは、仰ぐべき山が雲の彼方に存在することを信じて、たとえいま雲がかかっていてその頂(いただき)が見えなくても、そこに山があるということを信じて、勇気をもって歩みをつづけようではありませんか。