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同じころ当時の川崎医科大学の柴田進学長もこのシステムに関心をもたれ、日本では川崎医大がいちばん早くこのシステムを導入されました。

その後1979年、私はライフ・プランニング・センターに「POS研究会」を発足させ、このシステムの研究と普及に努めましたが、これは「POS医療学会」として発展し、2000年現在、第20回を数えるまでに至っています。日本の特徴は、このシステムが患者さんを主体にした記録であるということから、革新的かつ意欲的なナースの間に普及していったということです。

 

POSの原点

 

「POSによる記録とは、患者の問題が、患者のQOLを大切にしながら、もっとも効果的に解決されるように、いつも全人的立場から問題を取り上げ、考え、かつ行動する一連の過程の記録である」−これは私がPOSについて定義した言葉です。POSとは、常に全人的ケアを目指して、患者のために、患者の側にあって、患者と共に、サイエンスと身につけた技術をもって、命の主体である患者に人間的なケアを実践するシステム(パラダイム)であり、また哲学でもあります。

POSはそのベースとなるシステムの流れの精神に沿って、水が容器の形や環境によってその姿を変えるように、医療チームの数と質とのさまざまな配置の中で、それぞれの独自性を尊重しつつ協同して働く、そこにシステムの真価があり、そしてそれが行動として示されるものです。したがって、POSはサイエンスであり、またアートでもあるといえましょう。

 

 

 

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