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4 まとめ

 

1. 「地域文化を通じた草の根国際交流支援」事業は、各地の地域文化を交流テーマとした市民レベルの国際交流を支援することにより地域の活性化等地域振興に資することを目的に、平成10年度から開始した。

支援団体の選定は、地域文化交流事業委員会(委員長:西村幸夫(東京大学教授))において、当財団が行った草の根国際交流発掘調査等をもとに、国際交流経験の無い団体であって、且つ事業選定ガイドラインに沿うものとして、平成10年度は別府ONSEN文化国際交流事業」が、平成11年度は「黒部まちづくり国際交流事業」が選定され、当財団はこの2事業について、これまで国際観光振興会のご協力を得て、海外カウンターパートとのマッチングを行い、海外招請事業、海外研修派遣事業等を実施した。

2. 別府ONSEN文化国際交流事業も黒部まちづくり国際交流事業も、当初はそれぞれのプロジェクトチームの人たちによる取組みであったが、事業のテーマや事業内容が1個人、1団体に限ったものではなく、広く地域住民に関わる公益的なものであることや、それに取組んでいるプロジェクトチームの人たちのご苦労と情熱が、1年目より2年目、2年目より3年目と次第に地域の各団体や一般市民の方々に理解され、支援を得るところとなり、この事業に取組む人の裾野も広大となり、海外招請事業等の実施に際しても、その打合せ段階から、商工会議所、青年会議所その他各種市民団体の方々も参加するなど、草の根的な地域ぐるみの取組みとなっている。

3. 本事業の成果

1] 国際交流のパイプが形成された

支援団体に選定された別府、黒部の両プロジェクトチームは、それまで国際交流経験の無い団体であったが、今回の海外招請事業を契機に、海外招請者(団体)を核とした相互の地域住民、団体との交流の窓口、交流のパイプが形成された。このことにより、両プロジェクトチームにとって、海外カウンターパートと相互の地域住民、団体との交流について折衝する等の事務をすすめ、事業を継続、展開することが可能となった。

2] 派生事業が誕生した

別府では、平成12年4月、市の医師会と旅館組合連合会が連携して別府ONSEN地療法研究会」を発足させて滞在型温泉療法プログラムの研究等を開始し、同年10〜12月にはその研究成果としてシミュレーションプログラム「別府ONSEN健康づくり塾」を実施した。

また、市の若手経営者が中心となって、別府ONSEN文化国際交流事業のカウンターパートとなっているイタリアのベネト州アバノと相互の産物を市民(個人企業)レベルで交流することを目的とした「国際ビジネスネットワーク」を立ち上げる等、新たな事業が誕生し、さらには、温泉資源の活用として、温泉泥(ファンゴ)の活用方策について研究を始める等、別府ONSEN文化国際交流事業の交流テーマである「温泉と医療、美容、産物」から派生したさまざまな動きが、地域の活性化に寄与している。

 

 

 

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