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また、騒音対策として、ジェット機、プロペラ機及びヘリコプターに対し、航空機の重量、飛行形態等によって規定される騒音基準値を超える航空機の飛行禁止規制が行われています。

周辺対策としては、学校・病院・住宅等の防音工事、建物等の移転補償、緩衝緑地帯等の整備、地方公共団体と協力した移転跡地の活用による公園等の整備を進めています。

なお、大阪国際空港においては、関西国際空港の開港に伴い、周辺地域への騒音影響が大幅に改善され、騒音対策区域が2000年4月から約40%に縮小されました。

 

4. 地球環境の観測・監視

交通部門の環境問題について的確な施策を実施するため、長年にわたる地道な観測・監視を通した、大気や海洋の変動に関する正確な把握が必要です。

海上保安庁では、本州南方から赤道域において測量船による水温、塩分、海流、波浪及び海洋汚染の定常モニタリング観測等が実施され、各種データが収集、蓄積されるとともに、日本海洋データセンターを通じて世界各国とデータの交換が行われています。

気象庁では、世界的な監視ネットワークの一環として大気、海洋等の観測・監視が実施されています。このうち、世界気象機関(WMO)の全球大気監視計画に沿って、南鳥島(東京都)、綾里(岩手県)、与那国島(沖縄県)、南極昭和基地等において大気中のCO2等の温室効果ガス濃度、オゾン層等の観測が実施されるとともに、海洋観測船及び定期航空機により、温室効果ガスの深海から上層大気までの総合的な観測が行われています。

 

東経137度線に沿った二酸化炭素濃度の経年変化

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海洋気象観測船凌風丸による北西太平洋の東経137度線に沿った長期観測定線と1981年から1999年の冬季における同定線上の洋上大気中及び表面海水中の二酸化炭素濃度(北緯3〜30度の平均値)の経年変化。点線は、それぞれの長期傾向を示す。

資料:気象庁

 

また、気象庁は、WMO温室効果ガス世界資料センターとして、世界各地における温室効果ガス観測結果の収集・管理・提供を行うとともに、アジア・南西太平洋地域で観測されたデータの品質向上を目的とするWMO品質保証科学センターの役割も担っています。

こうした中、陸域に比べ情報が不足している海洋内部の観測・監視をより詳細かつ全世界的に実現するために、太平洋とその周辺海域の主要国と協力して、「高度海洋監視システム(アルゴ計画)」の構築を、ミレニアムプロジェクトの1つとして推進しています。同計画は、全世界の海洋に約3,000個の中層フロート(海面から水深2,000mまで浮沈する中層フロート)を展開し、そこから得られる水温、塩分濃度等に関するリアルタイムの情報をもとに、気候に大きく影響する海洋循環等の状況を常時把握するものです。これにより、長期予報の精度が現在の50%から70%以上に飛躍的に向上することが期待されています。

また、国際会議などを通じて、航空機を用いた上空における三次元的な温室効果ガス等の観測の強化を検討することとしています。

 

CO2の全球緯度帯別濃度変化(1983-1997)

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資料:気象庁

 

 

 

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