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別紙(6)

 

1PB 126 定期コンテナ船による北太平洋二酸化炭素モニタリング

(気象庁・KANSO・交通エコモ財団・東京農工大農)

小川完・緑川貴・坂井武久・北尾隆・加藤信次.・○碓井敏宏・土器屋由紀子

Monitoring of pCO2in the North Pacific by a container ship

(Japan Meteorol. Agency, KEEC, Eco-Mo Foundation, Tokyo Univ. of Agri. & Tech.) Ogawa, Kan; Midorikawa, Takashi; Sakai, Takehisa; Kitao, Takashi; Katoh, Shinji; Usui, Toshihiro; Dokiya, Yukiko

【はじめに】表面海水の二酸化炭素分圧(pC02)は海域、季節による変化が大きいため、そのモニタリングに定期航路船を使う方法が注目されている。我々は北太平洋を横断して運行されているコンテナ船「ありげーたーりばてい」を用い、'99年1月から観測を開始した。本発表ではこれまでのpC02観測結果を報告し、その海域および季節的変動の要因について栄養塩濃度との関係を含め考察する。

【方法】海水は船底(海面下約11m)より揚水し、また大気は船橋フライングデッキ前部で吸入し、オンラインでpC02分析器に導入した。検出器には非分散型赤外分析計を用い、海水の気液平衡器にはシャワー方式を採用した。水温と塩分はシーバード社SBE21で測定した。'99年8月の観測からは試水を冷凍して持ち帰り、ブラン・ルーベ社のオートアナライザーを用い比色法で栄養塩濃度を分析した。

【結果と考察】'99年1-2月の観測では東京出港後35°N付近を東に進む航路をとり、全航程が亜寒帯収束線の南側であった。5-6月及び8月の観測では160°E〜160°Wで亜寒帯収束線の北側を通り、45°N付近まで北上し、その前後は収束線の南側であった。亜熟帯域では、海水中のpC02は1-2月には大気より低かったが、季節と共に上昇し、8月には大気を上回る濃度となった。亜寒帯域でも5-6月は海水のpC02は大気より低かったが、8月には上昇し、160°Eと160°W付近を除き大気より高濃度となった。亜熱帯域では年間を通して成層し、亜寒帯域でも成層が発達する時期であったことから、これらの季節変化は炭酸物質に富む下層水との鉛直混合でなく、水温上昇に伴うpC02の増加のためと考えられた。次に海域による変化について考えるため、観測されたpC02をTakahashiら(1993)の式により一定の水温に規格化したところ、おおむね北へ行くほど上昇が見られた。また8月の亜寒帯では、定温でのpC02とN03-およびPO43-との間に高い正の相関があった。これは、亜寒帯では冬季の鉛直混合の影響により春〜夏季にも表層水の全炭酸や栄養塩濃度が高く、一方亜熱帯では年間を通してそれらが低濃度であることを反映していると考えられた。

【謝辞】本研究は日本財団の補助を受けて行われた。また研究の実施にあたっては株式会社商船三井、エムオーシップマネージメント株式会社、(社)日本海難防止協会、また乗組員の皆様に多大なご協力を頂いている。厚く御礼申し上げる。

 

 

 

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