別紙(5)
127 定期コンテナ船による二酸化炭素モニタリング(II)
○小川完・坂井武久(気象庁)北尾隆・播本孝史(関西総合環境センター)
加藤信次(交通エコロジー・モビリティ財団)
キーワード:二酸化炭素・篤志観測船・北太平洋
はじめに
気候変動の監視と予測のために、海面における二酸化炭素フラックスを算出可能な広範囲かつ高頻度の観測データが必要とされており、その観測プラットホームとして篤志観測船に期待がかけられている。交通エコロジー・モビリティ財団では、日本財団の補助金をうけて、平成10年度から「一般商船による北太平洋の温室効果ガスの観測システムの構築」を実施し、商船に搭載可能な二酸化炭素(pCO2)観測システムの開発を行うとともに、北太平洋を横断して定期運航しているコンテナ船「ありげーたーりばてい」(42,121トン)に観測システムを搭載し観測を開始した。
観測装置
pCO2観測装置は、気象研究所タイプを採用し、検出器は非分散型赤外分析計(BINOS MLT3)、気液平衡器はシャワー方式を用いた。
観測装置は居住区にあるエアコンユニットルームに設置した。観測航海時には技術者1名が便乗してシステムの保守を行うが、無人での運転時間に対応するために、漏水等緊急時にシステムを停止する安全対策を施している。
試料海水は、船底(海面下約11m)から揚水されるエアコンユニット用の冷却海水を分岐して観測装置へ供給した。大気試料は、船橋部フライングデッキ(海面上約30m)に取り付けた大気取り入れ口から吸引した。海水及び大気試料は1時間毎に測定し、濃度はWMOスケールで検定された4種類の標準ガス(約270,330,360,410ppm)による検量線から算出した。
観測結果
本システムによる観測は、1999年1月に開始され、表1に示した4回の航海(何れも東京を出港しパナマヘ向かう航程)で行われた。
それぞれの観測航海で測定された、洋上大気と表面海水の二酸化炭素分圧差(△ρCO2)を地図上に示す(図1)。図中の棒グラフは経緯1度毎に平均された△ρCO2を表しており、海水のpCO2が大気より高い(低い)場合は海面から上向き(下向き)に航跡上に表示してある。
観測結果の詳細、解析結果は講演時に紹介する。