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別紙(3)-4

 

(イ) わが国の世界センターとしての役割

気象庁は、「WMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)」として、世界中の温室効果ガスの観測データを収集し、品質管理を行った後にデータペース化しており、これらのデータ集等を印刷物、磁気媒体及びインターネット等により世界各国の利用者に提供している.

また、アジア・南西太平洋地域を担当する「WMO品質保証科学センター(QA/SAC)」の業務を平成7年(1995年)10月に開始し、当該地域の観測所における温室効果ガス等の観測データの品質評価を基に各観測所に適切な助言や支援を行っている。

 

(2) 気候変動問題への貢献

(ア) 気候変動問題の国際的枠組みへの気象庁の貢献

全世界的な気候観測の枠組みの構築を目的としてWMOを始めとする国際機関が中心となって推進している「全球気侯観測システム(GCOS)」に対しては、気象庁の専門家がGCOSの計画策定を行う委員会の委員を務めている等大きく貢献している。

また、WMO等の国際機関は共同で、気候に関する研究を促進することを目的として「世界気候研究計画(WCRP)」を世界気候計画(WCP)の副計画として推進している。気象庁は、WCRPの下で推進されている「気候の変動性と予測可能性に関する研究計画(CLIVAR)」に参加し、季節予報や気侯変動予測につながる研究活動に貢献している。さらに、WCRPの下で推進されている「アジアモンスーンエネルギー水循環研究観測計画(GAME)」の一環として、平成10年5〜7月に実施された南西諸島及びその近海での強化観測に参加した。

さらに、気候変動に関する科学的知見、影響評価、対応戦略のとりまとめを行うために設置された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の活動に対して、地球温暖化の科学的評価を行う第一作業部会報告書の執筆責任者として気象庁職員が参加している。

(イ) 地球温暖化予測情報

近年、人間活動によって引き起こされる地球環境問題に対する社会的を関心が高まっている。特に、二酸化炭素に代表される温室効果ガスの大気中の濃度が増加することによって引き起こされる地球温暖化がもたらす気候変動は、農業、水資源の確保、低地の利用に影響すると予想されることから、人類の生存基盤を揺るがす問題として関心を集めている。

気象庁は、地球温暖化への対策を進める際に必要な情報を提供するため、気象研究所が開発した気候モデルを用いて、将来の気候変化を見積もり、「地球温暖化予測情報」として堤供する業務を実施している。これまでに大気中の二酸化炭素濃度が年率1%及びO.5%で複利的に増加する場合の100年先及び150年先までの地球温暖化に関する予測の結果を、ともに出版物及びCD-ROMで公表している。両者の結果は、地球温暖化による農林水産業、水資源、沿岸地域の土地利用等の影響の評価を通じて、関係各省庁が推進する地球温暖化防止対策の策定に活用されている。

また、地球温暖化予測情報は、WMOを通じて世界各国の気象機関及び関連する研究機関に提供し、温暖化に関する研究等に広く利用されている。

 

 

 

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