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第3章 海運等大量輸送機関による静脈物流への取組事例

 

1. 静脈物流の概況

平成10年度貨物地域流動調査(運輸省運輸政策局情報管理部)によると、海運と自動車で輸送された廃棄物は年間858,118千トンで、そのうち海運による輸送は0.9%で年間7,543千トンとなっている。ここでいう廃棄物とは、廃土砂、その他廃棄物(塵芥、糞尿、他に分類されない廃棄物)である。鉄道による廃棄物輸送は地域流動調査データとして掲載されていないが、JR貨物資料によると平成10年度43万6千トン、平成11年度30万トンの廃棄物輸送実績がある。

このような輸送実態のもと、EMMTでは平成11年度に家電リサイクル品を対象に海上輸送システムの検討を行い、このEMMT調査の成果に基づいて、家電リサイクル品の実証実験を行い陸上輸送のみのシステムと比べて海上輸送システムの優位性を実証するとともに、事業化に向けた問題点、課題を抽出することとした。

 

(1) 廃棄物の海上輸送

海運による廃棄物の輸送トン数上位の発都道府県をみると、最も発送トン数が多いのが神奈川県(2,484千トン)、次いで兵庫県(1,266千トン)、広島県(829千トン)、東京都(505千トン)、茨城県(451千トン)などとなっている。神奈川県について輸送トン数が多い方から着地をみると千葉県、福島県、広島県、北海道、福岡県の順となっており、千葉県だけで神奈川県から発送される廃棄物全体の84.7%を占めている。

海運による廃棄物の輸送トン数上位の着都道府県をみると、最も到着トン数が多いのが千葉県(2,572千トン)、次いで山口県(1,770千トン)、兵庫県(1,029千トン)、福岡県(632千トン)、高知県(388千トン)などとなっている。千葉県について輸送量が多い方から発地をみると神奈川県、東京都、千葉県、静岡県、大分県の順となっており、神奈川県だけで千葉県に到着する廃棄物全体の81.8%を占めている。

 

(2) 廃棄物の自動車輸送

自動車による廃棄物の輸送トン数上位の発都道府県をみると、最も発送トン数が多いのが北海道(106,642千トン)、次いで東京都(43,921千トン)、埼玉県(38,418千トン)、神奈川県(36,649千トン)、栃木県(34,392千トン)などとなっている。そのうち北海道は道内の内々流動だけである。東京都では輸送トン数が多い方から着地をみると東京都、千葉県、群馬県、埼玉県、栃木県の順となっており、東京都の内々流動が全体の73.3%を占めている。

自動車による廃棄物の輸送トン数上位の着都道府県をみると、最も到着トン数が多いのが北海道(106,642千トン)、次いで東京都(38,765千トン)、埼玉県(36,523千トン)、神奈川県36,172千トン)、栃木県(33,512千トン)などとなっている。

 

 

 

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