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IV-5. 高齢者・障害者等の接遇のあり方の提言

IV-5-1. 高齢者や障害者に対する接遇・介助の基本的な配慮事項

高齢者や障害者に対する接遇・介助にあたっては、高齢者や障害者の移動特性を理解し適切な介助技術を修得することが大切であることは当然であるが、最も大切なことは相手を思いやる、尊厳をもって対応するという基本的な心構えを持つことである。

そこで、行程別、障害別の接遇・介助について述べる前に、高齢者や障害者に対する基本的な配慮事項について整理をしておく。

 

IV-5-1-1. 障害のある人へのエチケット

1] 障害のある人に対するお手伝いは人間として当然の行いである。特に意識することなく、ごく自然な気持ちでお手伝いすることが大切である。障害のあるなしにかかわらず、人間はみなお互いに助けられて生きているということを認識しておくことが必要である。

2] 人間ひとりひとりが千差万別であるように、障害のあるひとりひとりも全て異なる人格を持っている。また、同じ障害の種類の方であっても移動特性はひとりひとり異なっている。「障害者」とひとまとめに考えるのは混乱のもとである。ひとりひとりが別々の人格であり、移動特性も異なっていることを認識することが、障害のある人に対するエチケットの基本である。

3] 障害のある人のお手伝いをするときは、まず、声をかけることが大切である。黙っていきなり身体に触れたり、車いすを押したりするのは、失礼でもあり、相手を驚かせたりすることになるので控えるべきである。

4] 障害のある人が困っているのを見かけたら、その人が何をしてほしいのかを聞くことが大切である。前述のように障害者の人格と移動特性はひとりひとり異なっている。ひとりよがりに手を出すのは、親切ではなく、お節介になる場合もあるということを認識する必要がある。

5] 障害のある人自身も自分にとって円滑かつ安心して受けられる介助のされ方を工夫しているため、どういう介助をしたらよいかを本人に聞くことが望ましい。

6] 障害のある人を特別視したり、無能力扱いをしないことが障害のある人に対して最も理解ある態度である。同情にもとづく言動や過剰な対応をとることは、かえって障害者自身の自立心や自尊心を傷つけることになる。必要なときには快くお手伝いすることが大切である。

出所;体の不自由な人びとの福祉 1996 財団法人テクノエイド協会

 

 

 

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