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一方で、ステップが低いバスを1980年代から導入し始め、さらにローフロアバス(日本におけるノンステップバス)の導入を経て、当初420mmあったステップは、新型車では245mmまで低床化されている。1994年に郊外の5路線で最初のローフロア車両が導入された。ローフロアの車両はニーリング(車高を調整できる)するサスペンションを採用することにより、限りなく段差を解消する努力を行っている。車いす使用者だけではなく、高齢者、ベビーカー使用者の乗降利便性をも高めるものである。現在では都心部にも導入を拡大し、TfL全体の運行車両およそ5,600台のうち、約2,500台のローフロア車両を導入している。これらの車両には新型のローフロア2階建てバスも含まれている(図3-4-2-4)。また、一部では中扉に自動式のランプ(スロープ)がついているタイプがある(図3-4-2-5)。

 

図3-4-2-4 ロンドン市内のローフロアバス

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図3-4-2-5 ロンドン南部(クロイドン地区付近)のローフロアバス

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リフト装備については、一部で導入された経緯はあるが、乗降に時間がかかり、また使用者が個人としての尊厳が傷つけられるので使用しないことになった。ロンドン市内のバス利用者は、現在1日に400万人に達する。そのため、リフト操作に時間がかかるような車両は、現実的な利用に向いていないという判断もなされた。現在、一部で自動スロープによる対応を進めている(図3-4-2-5)。また、車内をフルフラットにするとコストが上がるので、後部座席に近い部分では段差のある車両が多く、英国ではこのタイプが主流となっている(図3-4-2-5)。

 

 

 

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