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3. 脳性マヒ

 

CPとは「脳性マヒ=cerebral palsy」の医学名(英語)の略語で、この障害の人も含めて略称としてよく使われます。

 

障害の原因

脳性マヒは、脳の運動機能を司る部分が出産時に様々な原因から細胞の一部が死滅する事で、ほぼ全身にマヒが現れている障害です。主な原因として、以前は血液不適合(両親の血液型が合わない場合に出産時に黄疸等の拒否症状が起こる)が八割を占めていましたが、近年は逆子出産による酸素欠乏や出産補助器具の使用による頭部圧迫が原因として挙げられています。

さらに、医療の進歩でここ数年は発生数が減る反面、知的障害もある重度重複者が増えています。ちなみに、胎児性水俣病や出産後数力月経って発熱等の原因で起こる脳炎後遺症も、よく似た障害が見られることがあります。

 

障害の特徴

大きな特徴として全身的な障害である事は同じですが、言語障害と不随意運動(アテトーゼ=自分の意志に関係なく起こる筋肉の伸縮運動)のあるアテトーゼ・タイプ(以下Aタイプ)と、それがほとんど見られなく手足に硬直のあるスパスティックス・タイプ(以下Sタイプ)の2タイプがあり、3対1の割合で前者が多いといわれています。

 

ケアの注意点

Sタイプの場合は、知的障害を伴っていない限りは言語障害もない事が多いので、当事者の指示に従ってケアを行います。

Aタイプの場合は、個人差がありますがほとんどの人に言語障害がありますので、時間をかけて当事者の指示を確認してケアを行います。慣れた頃に当事者の意思を確認せずに勝手に進めることが起こり勝ちになり、トラブルを招きます。また、CPの人は日常的に身体の様々な場所に意識を集中していることが多く、後方等から急に声を掛けられると、驚いて手足に激しい不随意運動が起こり周囲の物を跳ね飛ばすことがあります。食事の時等は特に気を付ける必要があります。

さらに、不随意運動で顔に力が入り歪んだりするので、苦しいと思われがちです。しかしこれは、二次障害で首や腰などに痛みを抱える人を除いて、ほとんどは意識をどこかへ集中している為で、特別注意する必要はありません。

骨格や関節の強度も、筋ジストロフィーや骨形成不全のように折れたり外れたりすることは滅多になく、高齢者でなければ障害のない人とほぼかわりはありません。

 

 

 

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