日本財団 図書館


2. 脊髄損傷・頚髄損傷

 

障害の原因

交通事故を初めとして、海やプールでの飛び込みの失敗、体操競技中の落下等の様々な事故による骨折等の原因で、脊髄内の神経を部分切断したり傷つけることによって、神経にマヒが起こって生じる障害です。

事故直後の数週間は絶対安静を必要しますが、その後は筋肉や関節を動かすリハビリ運動をすることで、残っている機能を生かして生活をすることは充分可能になります。

神経にマヒを起こすと排泄のコントロールが難しくなる他、褥瘡(床ズレ=長く圧迫していると皮膚が炎症を起こし、悪化すると骨にまで達することもある)が出来やすくなる。特に、泌尿器に障害を起こさないようにすることと、打撲等による褥瘡を作らないように注意する必要があります。

 

障害の特徴

一般社会での生活を一定程度経験している人が多いので、一見すると自立生活が容易にも見えます。しかし、精神的な部分で障害を受け入れることが難しく、親兄弟に依存して暮らしている人が多いという現実もあります。

脊髄は上から頚椎・胸椎・腰椎に分けられ、胸椎・腰椎を損傷した場合には、手を初め上半身の機能が残っているので一般就労の出来る人が多くいます。しかし、上部(頚椎)を損傷した場合には、頚髄損傷と呼ばれ、手の握る力も弱くなるので、トイレや入浴等あらゆる場面での介助が必要となります。

 

ケアの注意点

入浴の時等は損傷部位より下を何処かへ打ちつけて傷をつけても痛みを感じません。また、間違って熱湯が掛かっても温度を感じないので大火傷をすることがあります。物に打ちつけないこととお湯の温度には充分に気をつける必要があります。

排尿のコントロールが難しいので、尿意を感じると即座にトイレにいかなければならない人もいます。男性の場合は、尿収器を利用している人が多くいますが、女性の場合にはそれは難しいので、尿意を訴えた時にはトイレヘの移動を最優先に考えましょう。

体温の調節が難しい人が多いので、真夏の暑い日に外出する時等は塗れタオルや冷水の用意が欠かせませんし、冬場は室温を高めにしないと体温が下がってしまう人もいるので、本人に状態を確認することが大切です。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION