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導波管ロスはレーダーの性能にどのように影響するかを考えてみよう。いま、仮に直線導波管の全長が7.5mで、ベンドを5個使用して50kWの送受信部を装備したとすると、

0.1(dB)×7.5(m)=0.75(dB)

0.15(dB)×5(個)=0.75(dB)

0.75(dB)+0.75(dB)=1.5(dB)

となる。この1.5dBの損失は送信時に減衰したものであるが、レーダーの場合は受信時にも同じ導波管内を伝搬してくるから、往復で損失は倍になり、実に3dBの減衰となって、50kWの出力が半分の25kWの送信出力を持つ2ユニット型と同等の能力となってしまう。

このような理由から、第1レーダーに50kWの3ユニット型、第2レーダーに25kW2ユニット型を装備しても、導波管の布設のやり方次第では、第2レーダーの方がよく映る結果になるのは明らかである。

上記の導波管ロスは、内部にさびやごみのない、全く新しい導波管の場合であって、漏水等によるさびの発生や、管壁の汚れ等によって減衰量は更に増加する。

(3) 矩形導波管のレイアウト上の注意事項

(a) ベンド1個は直線導波管1m以上の損失に相当するので、できるだけ使用しないようにする。

(b) 水平部分の導波管の布設長さが短くできるように送受信機の位置を設定する。

(c) 直線部分はできるだけ規格品を使用し、接続箇所は極力少なくすること。

(d) ツイスト導波管は損失が大きいので、極力使用しないように布設方法と送信部の取付方向を検討する。

(e) 天井裏に布設する場所には、布設部の天井板が容易に取り外せるような構造にしておく必要がある。

(f) 導波管の直線区間には、必ず1箇所現場合わせを設けなければならない。(強引に結合させるとひずみを生じ、漏水の原因になる。)現場合せは作業性のよい場所を選択すること。

(g) 導波管の損傷防止のため、レーダーマストの下部の甲板への布設部の全面に保護カバーを設けなければならない。なお、これは導波管を点検できるように取り外しが可能な構造にしておく必要がある。

(h) 隔壁・甲板の貫通

防水隔壁・甲板を貫通する箇所には、レーダーメーカー支給品であるバルクヘッドフランジ(導波管貫通金物)を使用する。(図2・13参照)

 

 

 

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