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電子ビームの強度は受信信号の強度に対応させることで、アンテナの方位と受信されるまでの時間のCRTの画面上に輝点として表示される。このようにして、CRT面には、輝点が次々のアンテナの方位と距離に対応して表示され、これがCRTに残光性をもたせることで空中線が一回転しても残光により、全周の受信信号が写し出されて、空中線の位置を中心とした360度の方向の状況がCRT面上で観測できることになる。

最近のレーダーの表示用CRTとしては、一般のテレビやモニタのようなラスタスキャン方式のものが使用されている。図4・43に示すように偏向コイルが水平用と垂直用の2種類を固定して取り付けておく方式もある。偏向コイルを回転させる必要がないので、回転時の雑音がなく静かな利点がある。このような方式としては、スイープレゾルバ方式、一般のテレビやモニタのようなラスタスキャン方式がある。

スイープレゾルバ方式とは、偏向に必要な鋸歯状波電流をアンテナの回転部に送り、回転に応じた水平用と垂直用の成分に変調させた電流を水平用と垂直用の2種類のコイルに接続する方式である。

ラスタスキャン方式では、電子ビームを水平方向に走査を行った後に、わずかに垂直方向の位置をずらしながら画面全体を表示する方式である。

なお、CRTに関する詳しいことは、第3章に述べてあるので、参照されたい。(3・7節…CRT、レーダーブラウン管、カラーブラウン管、3・8節…LCD等固体表示器)

 

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図4・43 CRTの構造(偏向コイル固定式)

 

 

 

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