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STCの動作は図4・40に示すような電圧波形を作り、距離が遠くなるに従って段々小さくなる負のバイアス電圧を、中間周波増幅回路へ加えて増幅度を落とすようにしたものである。STC調整のボリュームによってSTCの電圧波形の負電圧の振幅や時間的な長さを変えて見やすいように調整する。

 

4・6・8 高圧回路

CRTの陽極電圧は約10kV程度を必要とするため、専用の高圧回路を設けている。高圧回路は図4・41に示すように、制御回路、発振回路、整流回路からなり、制御回路は発振回路の電源電圧を変えて、出力電圧を8〜10kVまで加減する。発振回路は約20kHzで発振し、これを昇圧、整流して10kVの高圧を作る。

 

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図4・41 CRT用の高圧回路の構成

 

4・6・9 CRT(Cathode Ray Tube)とその関係回路

従来のCRTの構造の概念を図4・42に示す。この方式は集束コイルで細く絞られた電子ビームを、偏向コイルに流した鋸歯状波電流で中心から円周部に電子ビームを移動させるものである。この偏向コイル全体をアンテナの回転に同期して回転させることで平面表示方式(PPI)としている。偏向コイルに流す鋸歯状波電流の調整が悪いと、中心部が抜けた映像になったり、ゆがんだ映像となるので注意が必要である。偏向コイルに流す鋸歯状波は送信の瞬間にスタートさせ、その傾斜を変えることで表示する距離レンジを変えている。

 

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図4・42 従来のCRTの構造(偏向コイル回転式)

 

 

 

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