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図3・17に構造モデルを示す。透明基板の内面に透明電極を設けて、その上層を配向膜で被覆する。この膜によって、接する液晶分子が一方向に配列される。

配列方向が互いに直交するように2枚の基板を対向させ、間に液晶を充てんすると、液晶分子配列は両基板間で90°ねじられる。入射光が基板外面に設けられた偏光板で直線偏光され、液晶分子配列に沿って、偏光面が90°回転し、他方の基板に達する。透過側の基板に設けられた偏光板とは偏光面が直交するので、無電界時、光は透過しない。

両電極間に電界を加えると液晶分子の大部分が電界方向に沿って配列されるので、入射光の偏光面が回転せず透過するので、光シャッターの役割をする。偏光板を直交配列にすると、上のものとは明暗が逆の表示となる。図3・17のものは、透過形であるが、反射光を利用する反射形は、時計や電卓の文字表示に多く用いられている。

液晶材料は動作温度範囲を広くするため、同形の液晶の2、3種類が混合され用いられている。例えばシック塩基系、安息香酸エステル系、ビフェニル系などがある。

液晶層の厚さは10μW/cm2程度で、印加電圧は2〜5V、消費電力は数十μW/cm2と非常に少ない。基板は1mm程度の厚さのガラス板や100μm程度の厚さのプラスチックフィルムが用いられる。偏光板はよう素や二色性染料で染めたポリビニアルコール(PVA)膜を保護フィルムで挟んだもの等を用いる。

 

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図3・17

 

光透過率40〜50%、偏光度90%程度である。透明電極は酸化インジウムや酸化すずの薄膜で形成され、配向膜は、例えばブラジル酸クローム錯体やPVAなどを電極上層に塗布して、一方向に綿布などで軽くこすって、その配向をそろえる。

 

 

 

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