1] コストダウン
2] 圧搾空気及び歯車利用等、機構の簡略化
3] 風船方式
4] 配電盤不要(制御は1基ずつ)
5] 造船所における試作(テストケース特例)への対応
なお、別添資料として修繕ドック用簡易テント仮設の提案書を添付したので参照されたい。
5.4 作業員の防護対策
5.4.1 化学防護服
二重底内部の清掃は船舶修繕作業の中でも汚れの度合いの高いものであり、早急な改善が求められる。作業員の身体保護の目的も兼ねて化学防護服による保護効果について検証を行った。
実地検証は、旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ(株)の協力により同社製品「タイベックシリーズ」をサンプルとして、(株)三和ドック第1号ドック渠底において実施した。検証方法は、約3mの距離からサンドブラストの直撃、及び至近距離から船体塗料スプレイの直撃を受けるという事故を想定して実施された。
その結果、タイベックC型、F型ともサンドは貫通した。貫通度合いではF型はピンスポットが空く程度であったのに対し、C型は表面がボロボロとなった。
一方、塗料スプレイのテストではC型、F型とも貫通は見られなかった。
また、廃油清掃を想定した廃油浸透テストでは素材で手を覆って廃油バケツを掻き回すという方法で、特別の浸透圧力はかけずに実施した。
その結果、普及型は廃油が浸透したが、C型、F型はともに浸透しなかった。本件に関する質疑は第2回委員会議事録を参照いただくとして結論を述べると、埃まみれの作業等には普及型(定価1着700円前後)で充分効果がある。塗装、清掃等にはC型(同、2千円)程度の保護性能が必要とされた。F型(同、6千円)は保護性能は高いが高価なため、修繕業界の現状では不適当とされた。
一方、弱点は夏暑いことで、特に通気性のないC、F型の場合かなりの暑さになるだろう。かといって素肌に着た場合、素材が薄いだけにクッション性はないため這い回るような作業では膝が痛いと思われる。
また、タイベック素材は熱には弱く、溶接の火花等にあたればピンスポットができる。燃え上がることはないが溶けてしまうため、素肌に着用した場合は火傷の心配がある。
上記を踏まえ検討した結果、今後従業員保護の重要度が増してきた場合の備えとしては、弱点を補う措置を講ずれば充分期待できるものと思われる。
なお、顔面の保護、吸気の濾過等の保護対策については、(株)重松製作所の協力によりマスク、防塵フィルター等のカタログを参加企業に配布した。