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従ってマレイシアの造船所は、米ドル建ての契約を採用すれば立場を改善することができる。

 

造船市場におけるシェア

船腹需要はグローバルな性格のものであり、その充足には何の障壁も存在しない。船腹需要には循環要因が強く、造船国は、受注の臨界質量を確保する上で、国内市場が活況を呈していれば有利なことが多い。例えば、日本の船主は国内造船所にしか発注しない傾向がある。

韓国では、従来から政府と業界の間に緊密な連携があり、国としての産業戦略について見解が共通している。

米国造船所に新造を発注すれば、あらゆる船主がタイトルXIの特典を受けることができる。

マレイシアでは一般に国内造船所は政府や政府関係機関の発注に恵まれることが多い。マレイシア政府系銀行から融資を受ける船主も、国内造船所に発注するよう奨励されている。

 

舶用機器

舶用機器は概して船舶建造コストの50%ないし60%を占める。造船所の至近地区に発達した舶用工業が立地していれば大きな強みとなる。メーカーが高品質の製品を、しかも納期を遵守して供給できれば、造船所は全般的コストを引き下げ、サプライ・チェーンを容易に管理することができる。

 

造船所に影響を及ぼす内部要因

造船所の効率は、効率に影響を及ぼす諸基準間の均衡を維持することにより高めることができる。

・経営と戦略

造船所は特定の船種に特化し、専門能力、戦略、組織構造を発展させなければならない。マレイシアの造船所は一般に能力さえあればどんな商談にも応じる傾向がある。特化もなければ、造船所間の戦略的アライアンスもない。

・マーケティング

大半の造船所は国内市場に依存し、国際的なマーケティング活動はあまり行っていない。

・人的資源

総工数を削減するために、造船労働者は多技能をこなせなければならない。安全性文化の開発と維持も重要である。

 

 

 

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