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このZを断面係数といい、断面の形によって定まる値である。非対称な断面ではそれぞれ異なった二つの断面係数Zt、Zcがある。

(9)式は、はりの設計に最も重要な公式で、式中Sbが材料の許容曲げ応力以下となるように、はりの寸法を決めなければならない。

次に、はりの経済的な形を考えてみよう。

式M=Sb・Zにおいて、Mが一定ならばZが大きいほどSbは小さくなるから、はりは丈夫になる。またSbが一定でZが大きければ、大きな曲げモーメントに耐えられることになる。いずれにしてもZを大きくすればよいわけである。断面積を大きくすればZは大きくなるがそれでは不経済である。

そこでZを表わす一般式を考えてみると、

037-1.gif

で示されるから、この式でyが一定ならばIが大きいほどZを大きくすることができる。しかるに1=Σa1、・y12であるから同じ断面積a1の材料であっても、中立軸からの距離y1を大きくすれば、距離の2条に比例してIを大きくすることができることがわかる。したがってy1とa1とを一定とした場合、中立軸に遠い位置に多くの面積を有するような断面の形をつくれば丈夫なわけである。

このことは、第2.13図に示す4種類の断面形状を持つはりについて考えてみても明らかなことである。このはりの断面がどれも同じ面積で、長さを一定とすれば重さが同じであるが、曲げモーメントに対する強さを比較してみると、

037-2.gif

となり、中立軸に最も遠い位置に面積を多く持っているDの形状が強いことがわかる。

 

037-3.gif

第2.13図

 

 

 

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