第1章 船舶法
船舶法は、海事産業の活動のもとである船舶自体の基本法であり、数多い海事法規の中で歴史的にもその根源は古く、また性格的にも船舶行政の根幹となっている。
海上企業に関する基本的な法律としては、商法第4編「海商」があるが、その第686条に「総トン数20トン以上の日本船舶の所有者は特別法の定めるところに従い登記を行い、また船舶国籍証書を受けなければならない」旨の規定があり、この特別法とは船舶法のことである。
1. 船舶法の沿革及び体系
船舶法は、明治32年に制定され、その後数回の改正を経て今日に至っている。
そして船舶法の付属法令として船舶法施行細則(明治32年逓信省令第24号〉及び船舶法取扱手続(明治33年逓信省公達第363号)等がある。
又関連法令として船舶登記規則(明治32年勅令第270号)等が定められている。
なお、船舶法は、登録等に関しては総トン数20トン以上の船舶に適用され、総トン数20トン未満の船舶については「小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する政令(昭和28年政令第259号)」及び「小型船舶の船籍及び総トン数の測度に関する省令(昭和28年運輸省令第46号)」が定められている。
2. 船舶法の概要
船舶法は、日本船舶の国籍、日本船舶の特権、船舶の総トン数の測度、その他登録に関する事項及び船舶国籍証書の授受並びに船舶の航行に関する条件及び義務等を定めた法律であり、かつ他の海事関係の法令の基礎になるものである。
2.1 日本船舶の意義
この法律でいう「日本船舶」とは、次に掲げるものが所有する船舶である。(法第1条)
(ア) 日本の官庁、公署
(イ) 日本国民
(ウ) 日本に本店がある会社
(エ) 日本に主となる事務所がある会社以外の法人
ただし、会社については代表者の全員及び業務を執行する役員の3分の2以上が日本国民でなければならず、会社以外の法人については代表者、全員が日本国民でなければならない。
また、海上自衛隊の使用する船舶については、船舶法は適用されない。(自衛隊法第109条)