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したがって、夏期と冬期とでは必要蒸気量にかなりの差があるため、標準的蒸気消費量を算出してそれに見合った蒸気量のものを選ぶことが必要である。

またボイラは故障した場合、それに代わるものがないために信頼性の高いものを選ぶとともに、ボイラは特に自動化が進んでおり、さまざまの制御方式が用意されているので、予算とも兼ね合わせて妥当なものを選ぶことが重要である。

 

1.3.6 初期計算

初期計算書は、機関部の主補機の選定条件やプラントとしての必要な事項を検討して計算したもので、機関部の設計をするための基本資料となるものである。

ここでは代表的なものをあげて簡単に内容を説明する。

(1) ディーゼルエンジン主機関比較表

主機としての候補機種を数例並べて比較したもので、比較する項目としては、出力や回転数、シリンダ数とシリンダ径やストローク、ピストンスピード、シリンダ内最高圧力、正味平均有効圧力など、また燃料消費率や潤滑油消費率、それに付属装置、重量などであり、概略の価格や実績を参考に記入しておくと良い。

(2) 主機関予想性能曲線

主機の性能曲線はエンジン個々で異なるため、実際には陸上公試運転データから作成されるものであるが、あらかじめ予想される機種についてのデータを入手し作成しておくことは主機関連項目の検討に非常に有効である。

(3) 補機関ディーゼルエンジン比較表

主として発電機用ディーゼルエンジンの要目比較表である。項目は主機とほとんど同じであるので詳細は(1)を参照のこと。

(4) 可変ピッチプロペラ比較表

可変ピッチプロペラを採用する場合に、各メーカーのものを対比させる。

項目としては、主機の出力と回転数及びプロペラの回転数、プロペラ部としては、翼数、翼の材質、回転方向など、またプロペラ軸の径と長さ、それに制御部における制御方式、変節油の種類、また変節油ポンプの要目及び付属タンクや冷却器の要目、それに重量や概略価格、実績などである。

(5) 補助ボイラ比較表

補助ボイラの要目比較であって、最大蒸発量、蒸気圧力と温度、使用燃料油と燃料消費量、伝熱面積、ボイラ効率、使用電源などのほか、燃料装置の仕様、給水ポンプや噴燃ポンプ、送風機などの付属補機の要目、それに重量、概略価格と実績などである。

 

 

 

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