日本財団 図書館


6.3.7 船首沈下

第6.9図のごとく船首部が船台後端にきても、完全に浮揚しない場合には、固定台後端圧力Rが作用しているから、後端を過ぎると船首が喫水をうる深さまで、点線のごとく沈下する。これを船首沈下(バウ、ドロッピング)という。船首沈下は少しあっても害はないが、瞬間的に喫水よりも深く沈下するので、船底を破損することもある。これに対する処置は船尾沈下に対する処置と同じである。

 

122-1.gif

第6.9図 船首沈下

 

6.3.8 潮高の影響

進水は一般には満潮を期して行われる。その理由を次にあげる。

○船尾浮揚を早く生じさせる。

○固定台後端圧力を低下させる。

○船尾沈下、船首沈下が起こるのを防ぐ。

○水中になる部分のレール、固定台が長くなる。

○水深が大となり、船体が海底に衛突する危険が少なくなる。

○船体が早く水中に入るから、進水速度が過大とならず、制動装置も少なくてよい。

進水の時間は満潮の15分位前になるように進水作業を進める。これは満潮の前後15分位は潮の流れが殆ど止るから、この間に進水から岸壁への係留までを完了させるのが望ましいからである。

時間の都合で満潮以外の潮高で進水させることもある。潮高曲線を描いて、支障なく進水可能な潮高を選んで時間を決める。潮高は気象条件により左右されるので、進水1〜2日前から潮高の予定曲線上に実績を記入してその傾向を握んで万全を期する必要がある。(第6.10図)

 

6.3.9 船台のキャンバー

船台またはレールは湾曲しているのが普通てある。船台の長さの中央での、ふくらみの量をキャンバーという。200〜300mmが普通である。(第6.11図)進水計算に従って、レール、固定台のキャンバーを変えることもある。キャンバーを付けると次の長所がある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION