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また、騒音が問題となっている工場・事業場の多くは中小規模であり、資金的な面から移転が困難な場合が多いので、公害防止事業団などにおいて、共同利用建物の建設、あるいは、工場団地の造成を行い、中小工場にあっせんしている。(以上環境白書より)

〇中小造船所の騒音問題

市街地に隣接あるいは市街地にあり、木造船から鋼造船建造に転換した造船所に騒音の苦情問題が多い。当面の対策としては防音壁、工場建屋、工作法改善などの防音対策は実施しているが、万全であるとはいいがたい、環境汚染問題は、今後ますます厳しくなることが予想されるから、公害苦情の対策に困っている。企業で将来の発展のためも含めて転地などの計画を検討する必要がある。

(5) 電気設備技術基準

電気事業法に基づいて省令により定められた電気設備に関する技術基準である。一般産業と同様に造船所には重要なものである。電気はその取り扱いを誤れば重大な結果をまねく、このためには電気に関する施設の保安規定として、許可申請、電線、電路と絶縁、接地、屋内外の電気施設などが対象となる。

500KW以上の電力を使用する事業所では電気主任技術者が必要である。

(6) 労働安全衛生規則

労働基準法に基づいて制定されたもので、産業災害に対しての具体的な安全対策が定められている。この規則は総則、安全衛生基準、特別安全基準に分けられている。

内容としては、足場、安全通路、墜落防止、電気設備、保護具、環境衛生条件、ボイラ、揚重機、アセチレン溶接、溶断装置などについて詳細に規定してある。

揚重機については、特定の検査規定がある。

(7) 電離放射線障害防止規則

溶接部の非破壊検査のためにX線写真撮影を行う場合にこの作業者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくなるように規定してある。このためにX線装置の規格、警報または標識の指示、放射性物質の飛沫防止措置、保護具などについて詳細に定めてある。

(8) 塗装技術の進歩にともない、有機溶剤の使用が増加している。有機溶剤を使用する場合、人体に対する害を防止するため換気設備など必要なものについて、有機溶剤の区分などから規定している。

(9) クレーン等安全規則

産業災害のなかで、特にクレーンによる事故例が非常に多い。労働基準法から省令として制定されたものである。内容は、クレーン、デリック、運転免許、玉掛け、エレベータ、リフト等について製造設置、使用就業、点検試験、検査関係などがある。

 

 

 

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