9. 実海域における試験結果及び考察
(実施日時:平成13年2月28日(水) 9:00〜15:00)
2月26日の(株)海洋気象情報及び日本気象協会からの気象予報によると、2日後の2月28日試験海域において、強い南風(平均風速12m/s以上)が吹き、波高が2mを越えることが予想された。そのため、関係者と協議の上、試験実施を2月28日に予定し、関係者にその旨連絡をした。その後、前日の2月27日においても同様の予報が得られたので2月28日に試験を実施することにした。
9-1 試験の概要
「海上退船システム」の荒天時性能を実船実験を通して確認し、今後の「海上退船システム」の性能向上のための基礎資料を入手し、安全な「海上退船システム」の確立のための総合的知見を得る。
(試験項目)
1] 退船システムの投下・展張
2] プラットフォームへの試験員の降下
3] プラットフォームへの救命いかだの引き寄せ、プラットフォームから救命いかだへの試験員の乗り移り
4] プラットフォーム及び救命いかだへの人数分の荷重の負荷
9-2 海象条件
当日の天候は曇り、気温16℃、水温13℃であり、風は、しらはま丸の風速計(プロペラ式、設置高さ水面上約19m)により、南西ないし南南西の風平均風速15〜17m/s、最大風速23m/sが観測された。これはビューフォート風浪階級7に相当する。
試験時の波高は、タグボート有馬丸船長の目視観測によると、有義波高1.5〜2m、最大波高2.5mであった。船首に取り付けた超音波式波高計による測定結果を表1に示す。うねり成分を除いた場合の有義波高(0.08Hzのハイパスフィルター処理)は、1.6〜1.8m、最大波高は2.9m(12時40分)が観測された。
9-3 試験結果
9-3-1 スパイラル式(写真1〜6)
投下後、所要時間20secで正常に展張し、試験員4名が降下した。船側形状の特殊性からプラットフォームの吸い込み現象が認められたこと、及び試験員1名が体調を崩したことから試験員を本船に収容した。
9-3-2 ジグザグ式(写真7〜10)
投下後、所要時間25secで展張し、状態は正常であったので試験員の降下は可能であると判断されたが、いかだを準備中に本船が風により航路筋まで流されたため、本船を風上に向けてシフト中、プラットフォームが風にあおられ1回転し、降下路が捩れ、プラットフォームが不安定となり、試験員の降下が出来なかった。
試験実施の時間経過を表2に、荒天時における本船の移動状況は図1に示す。