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第2表 カナダ連邦政府の雇用統計(単位:人)

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さらに総雇用と総常勤雇用それに3ヶ月以下の短期雇用が大きく縮小している反面、3ヶ月以上の中期雇用がかなり大幅に増えていることが判る。また同じ雇用統計の他の部分には、年齢別、性別、職種別(注4)、雇用地域別(注5などの雇用統計でも、相当な変化が現れており、いずれ第4部で詳しく述べるように、連邦政府のマンパワー構造と雇用構造とに、大きな変革が起こっていることが伺われる。

第3は、この国の公務員制度が、G8の経済大国として、時代の変化に対する適応を進め得た点である。かってのイギリス型公務員制度から、アメリカ型に切り替えた20世紀初期のことは別にしても、この10年余にはイギリスに芽生えたNPMを導入するに際し、堅実かつ実利的な対応を進めた。その結果、イギリス以上の目覚しい成果を上げている。たとえば財政再建についてみると、1995年当時、GDPの約75%もあった累積財政赤字は、僅か4年で解消しただけではなく、2000年現在には逆に財政黒字が予想されている程である。その背景には、単に公正な業務の見直し(プログラムレビュー)を行っただけではなく、人事行政の面でもアメリカ型の厳格な職務分類制度に見切りをつけ、等級(タテ)と職種(ヨコ)にわたる分類枠の拡大(broadbanding)と、行政の戦略指向を可能にする幹部行政官の育成・処遇とを組合せ、公務員の在り方と意欲とを一変させた実績を忘れてはならない。

 

II 現地調査結果

 

1 現地調査の概要

 

「民間からみた21世紀に期待される公務員像」の国際比較調査は、調査員を調査対象国に派遣し、本題に関係のある現地有識者に面接・集計する方法で行われた。わが国にはカナダの公務員問題に関する専門家や専門文献が少なく、初期情報の収集に苦労した次第であった。そこで国連本部のカナダ人職員2人を通じて、コンタクト・パーソン探しから始めることにした。その後東京学芸大学の久邇良子助教授、国会図書館調査局の斎藤憲司主任調査員の両氏から、インターネットを駆使した広汎な現地資料の提供があった。また人事院管理局国際課の遠山義和上席国際専門官(調査時点)から「カナダ連邦公務員の人事管理制度」(1990、1991)の現地調査報告書の恵送を受け、同課の清水恵一主任国際研究官からコンタクト・パーソン候補者のリストを受領し、さらに人事院国家公務員倫理審査会の合田秀樹倫理専門官(調査時点)から、カナダの公務員倫理事情に関する貴重な情報を得た。

 

 

 

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