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幹部要員の選抜は、企業規模や業種によってかなり様子が異なっているように見受けられる。

 

第45表 幹部要員の選抜実施状況及び実施時期

1] 企業規模別

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(2) 選抜を行う時期

幹部要員の選抜を実施している企業に対して、重ねて「選抜を行う時期」について尋ねた。

回答があった企業全体では、「課長段階」が44.2%で最も高く、次いで「部長段階」の24.7%となっている。「係長昇進前」は15.6%である。

これを企業規模別にみると、「5千人以上」では「部長段階」が42.1%と高い比率になり、それ以下の企業規模では、「3・4千人台」で「課長段階」が66.7%などと「課長段階」の比率が高くなっている。「5千人以上」では「係長昇進前」とするものが26.3%に及び、かなりの企業で入社時あるいはその直後から幹部要員としての選抜が始まっている実態がうかがえる。

これを産業別にみると、サンプル数の関係で断定的には言えないが、とくに際立った傾向は見られない。

かつて有名であった日本国有鉄道の「超特急」、「特急」、「急行」、「準急」、「各駅停車」ではないが、従来、多くの企業がそれなりに幹部要員を選抜、育成してきた歴史があるが、企業が業績主義に大きく舵を切ってきつつある現今、「幹部要員の選抜」という概念すら約4分の3の企業では存在しなくなっている様子がうかがえ、多くの企業で熾烈な昇進競争が展開されているのが現実のように見受けられる。

幹部要員の選抜を行っている企業でも、選抜を行う時期は「課長段階」からが最も多く、「係長昇進前」の早い時期での選抜はほんの僅かな企業で行われているに過ぎないと言える。

将来の企業の中枢を担う幹部要員を早期に選別することの是非は意見の分かれるところであるが、現に選抜を行っている企業にとっても、その選抜、育成の仕組みと今後における業績重視の方向、企業の一層の活性化等の方向との調和を如何に図っていくかは大きな課題であると言えよう。

 

 

 

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