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・「課長級」では、「いない」の60.3%(88社)が最も高く、「10%未満」がこれに次いで38.4%(56社)となっており、「課長級」が出ていない企業が6割を超えている。

・「部次長級」、「部長級」では、「いない」がそれぞれ91.2%、95.8%と最も高く、「部次長級」が出ている企業は12社、「部長級」が出ている企業は6社に過ぎなかった。

各企業ごとに、総合職制を導入した時期、実際に女性総合職を採用し始めた時期、あるいは総合職・一般職制導入前からの在職者に対する制度導入時における身分の切替措置の内容など様々な事情が内在するものと考えられるが、男女雇用機会均等法施行以来15年を迎えようとする今日、女性総合職の管理職への登用は「未だ道遠し」といった感を拭い切れない。

 

第10図 女性総合職の管理職への登用状況

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5. 女性総合職採用の効果〔第11図参照〕

女性総合職を採用している企業に対して、女性総合職を採用したことによって生じた社内における変化の状況について回答を例示して複数回答で調査した結果、回答があった企業全体で、「社内の活性化につながった」が59.8%と最も高く、次いで「男女間での処遇格差の解消につながった」が38.3%と、ある程度積極的に評価されていると言える。一方、「一般職の女性の間に不満が多くなった」が18.7%、「転居を伴う異動がスムーズに行えず、人事がこう着化した」が13.1%とマイナス評価も相当の率を示している。

 

第11図 女性総合職採用による社内変化

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6. コース別採用制度の今後の方向〔第12図参照〕

重ねてコース別採用制度の今後の方向について調査した結果、回答があった企業全体で、79.2%が「続けるつもり」で、「廃止の方向で検討」は僅かに8.7%であった。

コース別採用制度はなお存続の方向に動いているといえる。

女性総合職については、「男性社会の風圧をまともに受け、疲弊していった(平成13年1月12日・日経)」が正鵠を射ているかどうかはともかく、「職務の範囲と責任」、「女性総合職自身の結婚・出産・育児に係る問題」、「女性一般職との間の職務と処遇のバランスの問題」など、現実にはかなり多くの課題が山積しているように見受けられ、また、「実績主義」を標榜した「ポスト総合職人事管理方式」の胎動も感じられる。

そのような状況の中で、総合職・一般職のコース別採用制度が、人事制度として現にどのような効果を挙げているか、また、今後とも経営的にも、勤労者にとっても有効に機能するものであるのかどうかなど、俄かに判断することは困難であるが、そしてまた、それが今後とも定着する方向で推移するかどうかも不透明な面があるが、女性総合職に係る諸般の問題点が整理され、具体的対応策が講じられつつ、企業経営に資する人事制度として止揚されていくことを期待したい。

 

第12図 コース別採用制度の今後の方向

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