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錦絵に描かれている場所

安治川をはさんで、現在の大阪市西区、福島区、此花(このはな)区に相当します。左下方に中之島があり、右上が天保山(目印山)のある川口となります。地図は、錦絵に合わせて上が南、下が北に描いてあります。

※破線で囲まれた所が、実際に描かれている部分です。

 

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『新綿番船出帆図』

安政期(1854〜9年)の作、安治川口を出帆し江戸をめざす7隻の新綿番船が描かれています。

 

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新綿番船の帆装(上図の中央部分)

左の番船は、船首に弥帆(やほ)・中帆(なかほ)・伝馬帆(てんまほ)をあげ、船尾に艫帆(ともほ)を張っています。右の番船の本帆の脇に張られたのが副帆(そえほ)で、これらの帆装を見ると番船がいかに帆走性能の向上に努めていたかがよくわかります。こうした帆装は、当時導入され始めた洋式船か来航した西欧船の影響とみてまず間違いありません。安政6年(1859)のレースで所要時間50時間、平均速力7ノットを記録した番船は、こうした帆装の船だったのかもしれません。新綿番船は、現代の帆船レースと違って大量の荷物を積んでのレースだっただけに、航海技術の向上に大いに役立ったことでしょう。

 

 

 

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