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3. 可変(かへん)ピッチプロペラ

スミスがスクリュープロペラ船を完成させてから約160年、船体や主機関の種類に応じた効率や操作性の良いプロペラが開発されてきました。その内の一つが、可変ピッチプロペラです。一般にスクリュープロペラといえば、翼(よく)が固定されているプロペラのことで固定ピッチプロペラと呼ばれています。前進の時と後進の時とで回転方向を変え、機関の逆転機構(ぎゃくてんきこう)を使ってプロペラを逆回転させています。この場合、前後進の切り替えの度に機関を逆転させなければなりません。機関の回転方向を一定にさせたままで船を前後進させる方法はないかということで開発されたのが可変ピッチプロペラです。これは油圧を使って翼の角度の調整を行っているので、機関の回転を変えることなく全速から微速(びそく)まで船のスピードを自由に変えることができ、緊急停止や超微速運転が可能となるなど優れた操縦性能を持っているので、きめの細かい操船を要求されるタグボート、トロール船、フェリー、掃海艇(そうかいてい)などには早くから採用されています。

 

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かもめCPC-24型 3翼可変ピッチプロペラ

 

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翼のひねりの方向と角度を変えることで、回転数や回転方向を変えずに前進、中立、後進が可能なプロペラ。

 

4. 二重反転(にじゅうはんてん)プロペラ

プロペラが回転する際に発生する回転流(かいてんりゅう)、これまで利用することのできなかったこの回転流を反転する後方のプロペラで回収し、推進(すいしん)エネルギーに変えるのが二重反転プロペラです。三菱重工業(株)がこの二重反転プロペラを大型タンカーでの実用化に世界で初めて成功しました。これによって15%の省エネと環境汚染につながる排ガスの量をへらすことが可能となりました。

 

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写真提供:石川島播磨重工業(株)

 

 

 

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