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3. 豪華客船(ごうかきゃくせん)“モレタニア”

“モレタニア”は、イギリスのキュナード社が、1907年(明治40)に建造した蒸気タービン搭載(とうさい)の豪華客船です。等間隔に4本の煙突が並んだ3万トンを超える大型船で、当時では誰もが考え付かないほどの大きな船でした。また、速力のほうも航海速力(こうかいそくりょく)25ノットと、当時としては驚異的な速さで、大西洋を最も速い平均速度で走った船に与えられるブルーリボン賞を獲得し、次々と自己記録を更新して22年間もその栄誉(えいよ)を保ち続けました。

“モレタニア”を建造した船会社キュナード社の歴史は古く、1839年(天保(てんぽう)10)サミエル・キュナードが2人の仲間とともに政府の補助企業として発足させたもので、当時の名前は「イギリス北アメリカ郵便会社」と言っていました。

現在、キュナード社にはイギリスの女王陛下と同じ名前を持つ“QEII(クイーンエリザベス2世)”と言う客室総数942室の豪華客船も有ります。“モレタニア”と“QEII”は、どちらもジョン・ブラウン社の造船所で建造された船です。

 

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“モレタニア”

主要目:

総トン数 31,938トン

長さ 232メートル

幅 27メートル

主機(しゅき) 蒸気タービン

乗員 812名

乗客定員 2,165名

進水 1906年(明治39)9月

 

4. 太平洋航路の女王“浅間丸(あさままる)”

日本郵船株式会社は、大正時代の末期、北太平洋航路において各国が新造の優秀船を就航(しゅうこう)させたことによって激化した旅客運航競争の中で、サンフランシスコ航路用として17,000総トン、20ノット級客船3隻の建造を計画しました。その中の第1船として昭和3年(1928)10月に建造されたのが“浅間丸”です。この船は船型、構造諸設備(こうぞうしょせつび)にいずれも豪華な装飾をこらしたもので、イギリスの古典様式をとり入れたその優雅さは、太平洋航路の女王の名に恥じないものでした。“浅間丸”は当時わが国最大の客船であったばかりでなく、世界でもまだ数少ない大型ディーゼル客船でもありました。

 

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“浅間丸”

主要目:

総トン数 16,947トン

長さ 170.68メートル

幅 21.94メートル

主機 ディーゼル

乗員 329名

乗客定員 839名

進水 昭和3年(1928)10月

 

 

 

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