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そしてその結果は、所属する団体や組織への献身だけでは参加率は低く、参加することで得るものが大きければ参加率は高くなっています。以前はメンバーを十分にあてにすることができた福音教会でさえ、現在では何かの付加価値をつけてあげないと、参会者はプログラムを買わないそうです。教会を含めたすべてのグループ、もっと言えば家族に対する愛慕心さえも、ますます「自分がそこから何を得られるか?」「私にとって何か得なものはあるか?」という基準で評価されるようになってきています。

パットナムが得た研究結果を用いて、過去三十〜四十年の間で私たちに一体何が起こったのかを説明したいと思います。その説明としてパットナムが最初に論じたのは、世代の変化です。彼が調査したほとんどすべての項目において、世代が下がるごとに数値は低くなっていました。一方で社会参加率が最初から高い世代の人々は、そのままの参加率を維持しています。パットナムがアメリカの歴史の中で“最も市民意識の高い世代”と呼んだ一九二五年から三〇年に生まれた私と同じ世代の人々は、最初から選挙投票に行っており、今でもそうです。同じように、ずっと教会に行き続け、ずっと新聞を読み続け、他のことでもそうなのです。

 

 

 

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