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これは、新聞の一面を使って企業が出した七十五篇の意見広告を一冊にまとめたものです。例えば「失敗を恐れるな」「他人の時間を盗んではならない」「ベンチの端に座っている子どもに与える」など詩のような形で、それこそ正しい道のあり方について書いているわけです。この意見広告が月に一回アメリカで出されていたのは一九八六年、一九八七年で、アメリカ経済の双子の赤字とか、アメリカ経済はダメだと日本でよく言われていた頃の現象なのです。

私はある人に教えられてこの本を読んだのですが、さすがにアメリカだという感じがしました。心の問題を、若い人たちに道を説くという形で書いた詩篇が『アメリカの心』という形でまとまっている。しかも、これを出している企業の広告は一行たりとも記されていません。その後、私は日本でもこういう意見広告が出されるのではないかと楽しみにしているのですが、今までのところまったく見当たりません。これがやはりアメリカの強みであると思います。今、日本は現象的に見て大変な苦しみを味わっていますが、道を基本から説いていくようにしなければいけません。この『アメリカの心』という本がアメリカで出されたことと、その手段に対して非常に尊敬の念を抱きました。

 

 

 

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