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どうやってこれを逆転したらいいのでしょうか。私もパットナム先生と話したりしておりますが、アメリカでもこうした問題意識が鮮明になっていて、社会関係の構造をつくらなければならないと言われています。現在、アメリカでもロータリー・クラブのような活動が弱まっています。そういった集団で社会のために何かをするということ、行動するということの魅力を高めて、今の傾向を変えなければならないのです。

日本ではまだそれほど個人主義が強くなっていないと思いますから、日本の場合は何らかの予防措置のような形で、これ以上悪い意味の個人主義が広がらないようにしてほしいと思います。ただ、デリケートなバランスは取らなければいけません。やはり一方では自ら立つという意味での自立― 一人ひとりの個人の尊厳は重要ですから、個人が外の力に服従するということはよくありません。より大きな意味、すなわち道のようなものがなければ、一人ひとりが本当に独りぼっちになってしまいます。

ですから心学を国全体でリバイバルさせるということではなく、一つのコンテクスト(文脈)をつくっていく。社会的な義務感をもう一度見出すことが必要です。

 

 

 

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