山から栗を拾ってきた話もよくご承知だと思います。隣の山との境に落ちていた栗の実を拾ってきたところ、「栗は枝を張って実るから、その栗は隣家の栗だ。すぐに返しに行きなさい」と叱った厳格なお父さんの教えを受けているわけです。
倹約についても非常に面白いことが書かれています。釜の飯はすっかりさらえて食べなければいけない。釜の内側にご飯粒が残っている場合は、お湯をかけてはがして食べないといけない。まだ残ったらスズメやネズミの餌にあげなさいと。スズメはかわいいのですが、ネズミに餌を与えるのはどうかとも思いますが…。あるいはまた熱いお湯を庭に捨てるときは、土の中にいる虫が火傷をするといけないから水を混ぜて捨てた。このあたりはお笑いになるかもしれませんが、そういうことをしております。
また、これは若い方はご存じないかもしれませんが、今はお金を出して紙くずを捨てますが、当時は紙くずは買うしきたりになっておりまして、私も子どもの頃の「くずィ〜」と言って回ってくる呼び声を覚えております。そういう紙くず屋さんが来ると、貧しそうなくず屋さんにくずを売った。そして言い値どおりのお金で売ったということが書かれています。