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社会と経済の新しい関係を

バークレー校での私の同僚であり、歴史家のアンドリュー・バーシェイは日本の社会科学について書いた本の中で、修正マルクス主義経済学者である馬場宏二の立場を書いています。一九八○年代の著作の中で馬場は、「日本のシステムが崩壊する大きな可能性」があると警告しています。

馬場によれば、「豊かな社会への切望は…組織を―そして社会と文化の再建の領域を通常―抑制のない自己弁護的な成長の追求に向かわせます」と書いています。そしてその結果、「社会の回復不能な内部崩壊」が起きるのです(この点でパットナムが著作の副題でアメリカ社会の「崩壊」という言葉を使っているのは興味深いことです)。しかし馬場は、会社主義(社会主義をもじった言葉)が、日本において資本主義のより人間的な形を創造するかもしれないという希望をもっているようです。理由はどうであれ、思想としての「資本主義」が日本ではそれほど支持されてこなかったことは明白です。

 

 

 

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