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梅岩先生と心学を世界に発信しよう!

 

―これまでのお話によりますと、地元亀岡での梅岩先生のファンは、小学生の二年生から大人まで幅広くいらっしゃるようですね。今後は、梅岩先生や心学を勉強するにしても、学び方を工夫しなければいけませんね。

大庭 私は今日まで、心学を自分なりに勉強してきましたが、心学は教科書で学ぶのではなく、一つの題材に対してお互いに話し合う通話(とうわ)によって自分なりに理解し、かみくだき、吸収していく。そして超日本人的と言いますか、いったん体内にとり入れてから、対外的には違った角度で実践していくのが梅岩先生の学問ではないかと思います。

黒川 まさに、梅岩先生の著書『都鄙(とひ)問答』がそれですね。今日的には文面がちょっと難しいですが、最初から最後まで、<問い>があって、それに対して<答え>がある。Q&A形式です。その内容も、日常的な具体的なことで、それほど難しいことではありません。一つひとつの問いに対して、具体的に例をあげてわかりやすく解答されています。たとえば、商人になる心得ですとか、借金の返し方とか。「医者になる心得」などは現在の医療問題をそのままついていて、今日の医療関係者に聞かせたいぐらいです。勿論例外もあります。先ほどもちょっと出ました“性”や“理”という言葉は、梅岩先生自身の禅的な悟りで、梅岩先生の個人的修行や人生体験の中から得られたものですから、他人がそのままの形で追体験することはできません。これは、梅岩先生にとっては、青春時代の第一の体感につぐ第二の体感といえるかも知れません。その体感が信念となって、受講者がたとえ一人であっても、またどんなきつい批判があっても、講席をつづけられたのだと思います。

 

 

 

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