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改正港湾運送事業法のポイント

 

港湾運送事業法が改正されました

 

港湾運送事業法が平成12年5月17日に改正され、平成12年11月1日から施行されました。

新しい法律では、コンテナ貨物の積卸しの用に供する港湾のうち国民経済上特に重要なものを「特定港湾」として指定し、特定港湾で行われる一般港湾運送事業等について需給調整規制を廃止する等の規制緩和をしました。

また一方、悪質事業者の参入や過度のダンピング等が生じるおそれがあるため、これを防止することを目的として、港湾運送の安定化策(セーフティネット)を設けたことが改正の主な内容となっています。

なお、特定港湾とは、京浜港(東京・川崎・横浜)、千葉港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、関門港(下関・北九州)及び博多港を指します。

 

改正された主なポイントは次のとおりです

 

今回の法改正で特定港湾における従来の取り扱いと異なる点は次表のとおりです。

 

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これ以外の運賃・料金の割戻しの禁止(第11条)、差別取扱の禁止(第15条)、引受義務(第15条の2)、下請制限(第16条)、事業の譲渡譲受の認可(第18条第1項)等については、特定港湾においても従来と同じ扱いとなっています。

 

港湾運送の安定化策(セーフティネット)に伴う措置は次のとおりです。

 

1 欠格事由の拡充、罰則が強化されました。

悪質事業者の参入を防止するため、暴力団対策法違反者等を新たに欠格事由に加えるとともに、罰則を強化しています

2 特定港湾における許可基準のうち「労働者最低保有基準」が、次のとおり変更されました。

(1) 原則として、法改正前の労働者の基準数を1.5倍(新基準。以下同じ)したものが適用されます。

(2) ただし、現場職員、いかだ、はしけ等に係るものについては変更されていません。

(3) 一定の要件を満たす事業協同組合に加入している場合は特例措置が講じられます。

 

◎一定の要件を満たす事業協同組合とは

1] 定款において

○目的として、「特に、港湾運送事業に関して、作業の共同化を推進する等により港湾運送事業の効率化及びサービスの向上を図ることを目的とする。」

○事業として、「港湾運送事業の共同化の斡旋、組合員の荷役作業の共同化の斡旋、組合員による荷役関連施設及び荷役機械の共同利用の斡旋等」が明記されていること。

○前記事項が確実に実施されることが見込まれること。

2] その他の要件

○事業協同組合の他の組合員に、同一の港湾内の港湾運送事業者であって自ら行う港湾運送行為と同一の行為(船内荷役と沿岸荷役は同一の行為として扱われる。以下同じ)を行う者があること。

○行為ごとに、自ら保有する労働者と同一の行為に従事する他の組合員の保有する労働者を自己の保有する労働者とみなした場合に、その和が基準数(法改正前の基準数を1.5倍した数)を上回るものであること。

○特例を受けるための手続きを行っていること。

◎特例措置とは

許可基準のうち労働者の人数について、新基準を適用せず改正前の基準が適用されます。

 

◎経過措置

改正法施行時に現に免許を受けている事業者の労働者に関する基準については、平成14年6月10日までは改正前の基準が適用されます。

 

3 特定港湾における「運賃・料金変更命令制度」が導入されました。

運賃・料金の設定、変更の届出において「特定の利用者に対し不当な差別的取扱をするものであるとき。」又は「他の特定港湾一般港湾運送事業者等との間に不当な競争を引き起こすこととなるおそれがあるものであるとき。」と認められる場合には、運賃・料金変更命令が発せられます。

 

4 特定港湾における「緊急監査制度」が導入されました。

運賃・料金認可制から届出制に変更するに当たって、ダンピングの防止を徹底する必要があることから、特定港湾において広く届出運賃・料金が収受されていないおそれがある場合に、緊急に監査が実施され、処分等が行われます。

 

【お問い合わせ先】

九州運輸局運航部港運課

〒801-8585 北九州市門司区西海岸1-3-10

TEL 093-332-8090

 

 

 

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