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また、関門橋から東側の関門航路浚渫工事の監督、海洋環境整備事業及び日本最大級のドラグサクション浚渫兼油回収船「海翔丸」に関する業務を迅速に行うため、事務所の分室として門司区太刀浦に事務所を設置しています。

 

5 関門航路周辺船舶航行実態調査

 

平成11年10月に実施した3日間(連続72時間)の調査において観測された船舶は3933隻で、このうち早靹瀬戸を通過した船舶は、1日平均約660隻でした。

船種別に見てみると、貨物船(一般貨物船・タンカー等)2316隻(59%)、漁船961隻(24%)、その他船舶(プレジャーボート等)656隻(17%)の順でした。

船型別では、100〜1千GT未満が1831隻(47%)、5GT未満が990隻(25%)、5〜100GT未満が697隻(18%)、1千〜1万GT未満が365隻(9%)、1万GT以上が50隻(1%)の順でした。

昼夜別航行状況は、7割の船舶が昼間(6時〜18時)に航行していますが、「セメント船」「コンテナ船」「タンカー」「自動車専用船」等の船種は、約40%が夜間に航行していました。

航行速力は、「貨物船」「コンテナ船」「タンカー」等の船種で10〜15ノットで航行し、大瀬戸地区の屈曲部で1ノット程度減速しています。

調査結果に基づく主な海域特性は、次のとおりでした。

 

1] 関門航路西口付近では、六連島東側・六連島西側・若松沖と多方向へ航行しているが、大型船は六連島東側を航行し、中型船は、六連島西側及び六連島東側の利用が多かった。

2] 西海岸沖については、東航船の1万GT以下の多くが現航路の外側(門司港側)を航行していた。

3] 中央水道地区では、大多数の船舶が中の洲を避け太刀浦埠頭との間を航行し、東航船の多くが太刀浦の泊地内を航行していた。

4] 南東水道地区では、大型船は航路ブイを中心に右側航行しているが、中・小型船については、航路周辺の水深が比較的深いこともあり広い範囲で航行しており、特に宇部本山岬沖を通る北側海域の利用が見られた。

 

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1万GT以上の航跡図

 

6 関門航路の拡幅・直線・延長(港湾法施行令改正)

 

関門航路を利用する船舶は、近年大型化の傾向にあり、加えて本航路は地形的な制約から、狭隘で延長が40数kmに及び、かつS字型に屈曲したうえ、潮流が早く複雑であることなどから、国内有数の海難多発海域となっており、本航路の整備改良が強く要請されています。

関門航路での船舶事故防止のため

 

1] 六連島西側海域は水深7mの浅瀬が点在するため、現在、2万トン級以上のコンテナ船は六連島東側の航路を通り、彦島沖の屈折点から関門海峡に出入りしているが、カーブで見通しが悪いうえ、夜間は航行船の灯火が見えにくく、浅瀬があるため関門航路を西北に拡幅・延長する。

2] 航路内に6カ所ある大きな屈曲部のうちの一つで、中国船籍の貨物船がパナマ船との衝突・沈没する事故が起きた関門橋から北九州市門司区西海岸沖にかけての約3kmの部分を拡幅・直線化する。

3] 4万トン級のコンテナ船を対象とした場合、必要とする水深14mより浅い区域のある、南東水道地区の先端部を延長する。

 

以上の3箇所について、平成12年3月31日港湾法施行令の改正が公布され、4月1日施行されました。

 

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開発保全航路区域変更図

 

7 関門航路の整備

 

1] 関門航路改修事業

 

現在、中枢国際港湾としての北部九州諸港(北九州港、下関港、博多港)において、欧米航路(所要水深14〜15m)、東アジア航路(所要水深12〜13m)対応の本格的な国際コンテナターミナルの整備が進められていますが、3大湾等(東京湾、伊勢湾、大阪湾)から博多港、北九州港、釜山港等へ就航している大型船は、関門航路の水深確保(12m以浅が点在している)がなされていないため、九州南端経由の大回りをせざるを得ない状況であり、早期整備を図り解消する必要があります。

関門航路の整備に当たっては事業効果の早期発現の観点から、まず3万GT級のコンテナ船が航行できるよう、そのための航路水深13mを確保することを最優先に、その後4万GT級のコンテナ船まで航行できるように水深14m化に向けた整備を行う、ステージプランを作成して、段階的な整備を進めています。

 

 

 

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