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また、関門水先区の制度見直し問題については、現在も「水先区の設定等に関する検討会」の場において協議・検討が続けられているところですが、その状況を見守りつつ、船舶の交通の安全並びに運航効率の増進の為、適切な対応を図って参ります。

以上海事関係の諸施策を中心に述べてまいりましたが、運輸行政の基本は、安全の確保であります。船舶の航行の安全と海洋環境保護のため、国内船に対しましては、船舶検査の充実を図るとともに、適正な乗務員の確保について船員労務監査を通じて指導を徹底いたします。

外国船舶に対しましては、「海上における安全の確保」及び「海洋環境の保全」のため、船舶設備や乗組員の資格が国際条約の基準を満たしていない「サブ・スタンダード船」(国際安全基準不適合船)の排除を行う外国船舶監督(ポート・ステート・コントロール)を実施しております。

昨年2月からは、東京MOU加盟国で実施されたPSCのデーターをリアルタイムで検索できるデーターベースが稼働を開始し、欠陥船に対する監視が一層強化されるとともに、毎月、PSCにより重大な欠陥を指摘された船舶の公表を行い、欠陥船の排除及び海難事故の未然防止になお一層努力して参ります。

このほか、旅客輸送の安全確保につきましては、運輸行政の最重要課題の一つでありますので、本年も引き続き、関係事業者に対し、運航監理業務の監査、安全確認検査、年末年始の総点検及び夏季多客期の抜き打ち検査等を実施するとともに、運航管理者等に対する研修会を開催する等事故防止のための指導・啓蒙に力を入れていきたいと考えております。

特に、旅客船の衝突・乗り揚げ事故の原因が、人為的なミスに起因するものが大半をしめていることから、これらの事故防止に重点を置いて、より一層の安全の確保を図るため、強力に指導して参りたいと考えております。

なお、海事思想の普及は、海事関係諸施策を遂行する上で重要なものの一つであり、今後とも、7月20日の「海の日」を中心として引き続きその啓蒙と普及に努めて参ります。

最後に、繰り返しになりますが、運輸省は21世紀スタートの年である本年1月6日より建設省、国土庁及び北海道開発庁を統合した「国土交通省」に組織が変更となりました。本省においては、海上交通局と海上技術安全局が統合されて海事局が創設され、これにより海運、造船、船員の3分野が統合され、従来の所管、視野を越えた行政の総合性を発揮するとともに、海事関係者が一体となった取り組みを強力に推進していくこととしています。

また、運輸局等の地方組織につきましても、今後更に検討されることになると思っておりますが、いずれにしましても、九州運輸局としては、今後も国民の皆様の行政ニーズを的確に把握し、地域の実情に即して行政に取り組むことが肝要と考えております。

本年も職員一同新たなる心で誠心誠意取り組んで参る所存でございます。

皆様方におかれましては、より一層海運行政に対しましてのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、年頭のご挨拶といたします。

 

 

 

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