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これらの改正趣旨を踏まえ、事業運営に関する競争ルールについての透明性を確保し、改正法の適切な運用に努めるとともに、安全の確保、利用者利益を保護するとともに海上運送事業の健全な発達のために取り組んで参りたいと存じます。

離島航路等の生活航路におきましては、そのサービス水準を維持するために改正法で新設された指定区間制度を正しく運用することにより地域住民の足を守って参ります。特に、過疎化の進行等により、経営が大変厳しい状況にある航路については、航路経営によって生じる欠損額や船舶の近代化に要する建造費用に係る公的補助制度等により航路の維持・整備を図るとともに、九州運輸局(国)と各県との連絡・調整の場である「離島航路行政連絡会議」を活用し、地域の意向を反映した適切な航路改善を図って参りたいと考えております。

また、改正法においては、安全規制、利用者保護規制を小型船等の旅客定員12名以下の船舶にも拡大しましたが、このような小型船による旅客運送事業に対しましても、利用者が安心して利用できるよう安全指導等を行っていくとともに、多様なニーズに対応した利便性の高いサービスネットワークを構築する観点から助言、協力して参ります。特に、小型船の船どころである天草地区において、いわゆる海上タクシー事業を行う事業者の任意団体である「あまくさ海上タクシー協会」が発足しましたが、こうした海上タクシーについてもその組織化に取り組んで参ります。

長距離フェリー航路につきましては、九州と阪神、京浜及び北陸との間に全国の半数に当たる10航路が開設されており、人流・物流の大動脈として国内幹線輸送の一翼を担っていますが、景気の停滞等によりその輸送需要は低迷を続けていました。

このような状況の中で、事業者においては、ダイヤ改正や営業割引運賃の導入等の営業努力が行われており、また一方で、安全性、経済性に優れたカーフェリー輸送が見直されていることなどもあいまって、平成12年度上期では、旅客、車輌ともに対前年同期比でプラスに転じました。九州運輸局といたしましても、引き続き、サービスの向上について支援して参る所存でございます。

また、定期の旅客船について、高齢者や身体障害者の方々が気楽に安心して利用していただけるようターミナルや船内について必要なバリアフリー設備の整備を推進して参ります。

次に国内物流の基幹的輸送機関として重要な役割を果たしている内航海運については、依然として厳しい経営環境にありますが、導入後2年半を経過した内航海運暫定措置事業が順調に進んでおり、内航海運業の経営環境の改善が図られるものと期待しております。

また、内航海運事業者の経営基盤の強化や運賃・用船料の適正化、船員の安定的確保等内航海運業界が抱える様々な課題につきましては、業界団体、荷主等関係者と連携して解決策に取り組み、内航海運の構造改善に向けた環境整備を図り、活力と魅力ある内航海運業界の実現を目指して努力して参りたいと考えております。

港湾運送事業につきましては、物流コストの削減や拡大する輸入貨物の円滑な流通を図るため、港湾運送事業者の果たす役割が益々重要になってきております。

九州におきましては、各港湾におけるコンテナターミナル等の整備が進んできておりますが、これに対応したソフト面での構造改革やサービスレベルの質的向上が求められております。

九州運輸局といたしましても、これに対処するため、港湾荷役作業の効率化やサービスの向上に向けた諸課題の解決に向けて積極的に取り組んでいく所存であります。

特に、昨年5月事業の効率化とサービスの向上を目指し、港湾運送事業法の改正があり、昨年11月1日より管内の関門港、博多港を含む全国主要9港において、需給調整規制が廃止され、事業免許制が許可制に、科金認可制か届出制に緩和されたところであります。こうした、規制緩和に併せて港湾運送の安定化策として、悪質事業者の参入防止等の措置が盛り込まれておりますが、港湾運送事業法の円滑な施行に向けて全力をつくす所存であります。

次に物流対策については、現在、景気が長期にわたり低迷する一方で、経済のグローバル化は著しく進展しており、このような状況の下で、国民生活の質の向上を図り、大競争時代における産業活動の展開を支えていくためには、円滑で利便性の高い物流システムの確保とその更なる効率化が求められております。

 

 

 

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