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・車いす利用者は、上から話されると、聞き取りにくい。また、片方の耳が聞こえにくいという方も多く、目線を合わせて正面から話してもらうときちんと聞こえる。

・以前、バスを利用した際、運転手が車いす利用者の目線に立って話をしてくれた。船員も車椅子の目線で話をしてくれると、話をしやすい。

 

■研修の必要性

旅客施設や船内における係員や乗務員について、身障者への対応の仕方やコミュニケーションの取り方などに対する研修を実施してほしいとの指摘が挙げられている。

また、長崎県ボランティア振興センターでは、県内のタクシー協会から委託を受けて「介助研修会」を開催し、乗務員と障害者とがフリートークを行ったところ、お互いの理解を得られたという成果があげられている。

 

《アンケート調査結果(自由回答より)》

*乗務員の研修等の必要性

・施設整備(ハード)は改善されるにこしたことはありませんが、時間やお金がかかり一朝一夕には大変だと思います。まず、フェリーの乗務員やターミナルの職員等、直に客と接する人が障害者について理解をすることが第一歩ではないでしょうか。そうすれば、態度や介助の方法、サービス等、すぐに改善できると思います。職員の身障者についての勉強会や現場研修を提案します。(石田町、社協(身障者))

 

《ヒアリング調査結果》

*研修等による高齢者・身障者と乗務員との相互理解の促進

・以前、タクシー協会から依頼を受け、長崎県ボランティア振興センター等が全面的に協力し、「介助研修会」を行ったことがある。県のタクシー協会、市のタクシー協会の呼びかけにより各社から数名ずつ参加し、県南と県北において、計2回の研修会を開催した。その場において、乗務員と障害者がフリートークを行ったところ、お互いの理解を得られた、という成果があり有効と思われる。

・障害者や高齢者に対するサービスは、通常のサービスの延長線上にあり、サービス業に従事する者にとっては当たり前の行為であるが、このための研修も必要である。逆に言うと、ハードの部分がどんなに良くても、ハートの部分がバリアフリー化されていなければ意味がない。これは、バリアフリーの大きな柱として認識して欲しい。例えば、目線をあわせるなどの小さな事なのだが、本当にうれしく感じるものである。

*乗務員により異なる対応は不安材料

・乗務員のサービスは人によって異なる。親切な乗務員は声をかけてくれる。しかし、中には白杖を持った視覚障害者に気付かないのか、声をかけてくれない乗務員もいる。その上「そちらは危険です!」と急に怒鳴られてしまう。乗務員個人によって対応が異なるのは、障害者が外出する際の不安材料のひとつである。誰でも同じように声をかけてくれたり、対応してほしい。

・例えば、出港が近くなると、船員の気も焦ってくるはずである。こうした状況で、車いすの乗船の順序が最後になると、不安が増加する。同様に、足が少し悪くて、耳も遠いといった場合も「きちんと聞いてもらえるだろうか」「答えてもらえるだろうか」など、乗務員とのコミュニケーションに不安がある。

 

 

 

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