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文化財保護法は、法隆寺金堂の炎上を契機に昭和25年に制定された法律であるが、その後何度かの改正を行い、上述のような内容になった。特に最後に書かれている「周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの」は、景観を含めた歴史的な風土や建造物群を文化財として後世に残すべく文化財として守ることをうたっている。また近年では、登録文化財も導入し、主に近代建築を中心に文化財として登録している。

そして、この文化財保護法に準じて、東京都や埼玉県などでは、文化財保護条例をつくり、それを基にこれらの文化財を保護活用している。また、東京都でも登録制度を導入する予定だが、その内容は国のように建造物のみでなく、東京都という地域にのこる有形・無形の民俗資料を中心に生活関連文化財として大きく捉え、地域文化財の保護を目的とする登録制度が検討されている。

(2)地域の文化財(資料編:表(資)-I-3)

狭山丘陵をとり巻く5市1町の市町村でも、やはり文化財保護法に準じて文化財保護条例を制定し、その行政区域の文化財を指定し保護活用を行なっている。その内容は、各地域の視点にたった文化財の指定である。その視点の違いから各自治体の特徴がある。それを5市1町で比較してみると、先ず埼玉県側の所沢市では、国の指定文化財が4件、県の指定の文化財11件、市の指定文化財78件であり、総数としても多く、多岐の種類を指定している。江戸時代からの商業地ゆえなのか、絵画、彫刻などの美術品や刀などの工芸品などの文化財が多い。他に比べて民俗文化財などの指定が全体の割合から見て少ない。入間市では、国の指定文化財が2件、県の指定の文化財2件、市の指定文化財51件あり、数が多く、市内全体に分布している。また「手もみ狭山茶」などの指定がめずらしい。東京都側の東村山市国の指定文化財が2件、都の指定の文化財3件、市の指定文化財27件であり、その特徴としては、民俗文化財の指定が多く、偏りがある。東大和市では、都の指定の文化財2件、市の指定文化財31件があり、その中で、考古資料の一括の指定があり、古文書類の指定も多い。また、戦争関連遺跡ではあるが「旧日立航空機株式会社変電所」などの指定がめずらしい。武蔵村山市では都の指定の文化財2件、市の指定文化財15件であり、無形民俗文化財の割合が大きい。瑞穂町では、都の指定の文化財1件、町の指定文化財18件であり、古文書が多い。

 

 

 

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