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草本類では、スプリングエフェメラルとよばれる春植物の多くが展葉と花芽形成を短期間に完了させ結実後は休眠に入るという生活様式をとっている。

3] 花芽の発生から開花までに長い期間を要するタイプ

花芽の形成に要する期間は植物によってさまざまであるが、これが極端に長いものがある。単純に「蕾」が確認されてから開花にいたるまでの期間でみると、シロダモで約90日、カシワバハグマで約80日を要している。このほかにも、越年型でクロモジやハンノキ等がある。これらは秋に明瞭な花芽の形成があり、そのまま越年して早春に開花する。

4] 開花の翌年に実が熟すタイプ

ほとんどの植物では春から秋にかけて開花し、遅くとも晩秋までには結実・完熟するのがふつうである。ところが、開花の遅いシロダモはほぼ1年後の翌年秋になって実が赤熟する。春に開花するクヌギではさらに長く、約1年半の期間を費やして大きなドングリを生産していることになる。

5] 秋から春にかけて開花・結実するタイプ

ウマノスズクサ科のカンアオイは、3月下旬から5月上旬にかけて新葉を展開するが、開花は10月以降である。そのまま早春まで咲き続け、6月ころまでに実が熟す。

6] 長期にわたって開花するタイプ

草本類には、長期にわたって花を咲かせる種がいくつかみられた。長いものでは、ミドリハコベ、タネツケバナ、クサノオウ、カタバミ、オオバコ、ハキダメギク等で170日から180日の開花期を示す。また、ウシハコベやシロツメクサ、イヌタデ、ツユクサ、ゲンノショウコ、キツネノマゴ、ムラサキサギゴケ等でも120日から140日に及んでいる。

 

 

 

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