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従来の機関には吸気弁、排気弁各1個のものが多く、吸気効率を高めるため吸気弁傘部の径を排気弁傘部の径より大きくしていたが、シリンダ径が大きくなるに従い、又高過給機関の出現により最近の機関には3弁式、4弁式が多く採用されている。

弁には耐熱鋼が使用され、シートの角度には90°と120°の2種類が採用されている。又シート部には高温でも硬度低下の少ないステライト鋼を溶着して一段と耐摩耗の向上を図っている。又弁棒上端部近くには、弁バネ受けを固定する弁止環(コッタ)を嵌め込む溝が加工されており、2・82図に示すような構造となっている。又弁棒上端の耐摩耗性を高めるためキャップを設けているものもある。

7) バルブガイド(弁案内)及びステムシール

バルブガイドは一般には鋳鉄等で造られ、シリンダヘッドに圧入されている。弁案内の内面に沿って吸排気弁が上下運動をしており弁の着座位置が変わらないように位置決めすると共に弁からの熱を放出する役目をしている。

ステムシールは、バルブガイドの上部に取り付け、弁とバルブガイドの隙間より必要以上の潤滑油が吸排気ポートや弁傘部へ流れ落ちるのを防止している。

 

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2・83図 ステムシール

 

8) 弁バネ

弁バネは、弁バネ受けを介して弁を持ち上げ、弁シート面を弁座シート面に密着させシリンダ内の気密を保持すると共に、高速回転時にも弁腕、弁押し棒を介してタペットがカム面から離れないようにして、カムの運動を正しく弁に伝える役目をしている。

 

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2・84図 不等ピッチスプリング

 

 

 

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