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このように両方の弁が開いている上死点のことをオーバラップの上死点と云う。この位置よりクランク軸が1回転した上死点、即ち燃焼前の上死点は、圧縮行程の終わった時であり、当然吸、排気弁とも閉まっている。この上死点を、圧縮の上死点と云う。

なお、弁スキマの調整はこの圧縮の上死点で行う。又燃料はこの上死点前何度かで噴射される。

4) 着火順序

(1) クランク角度と着火角度

クランク角度とは多気筒エンジンの場合に各気筒のクランクアームが軸心を中心にして互いに開き合って配置されている角度をいう。

着火角度とは今1つのシリンダが上死点に達し着火燃焼し、そして次の着火を起すシリンダが上死点に至るまでの角度である。

その角度は次のようにして算出する。

014-1.gif

(クランクが2回転に1回の着火であるから360°の2倍となる)

(2) クランク角度の定め方

クランク角度は振動を防止し効率をよくするために次の事を考えて定められている。

1] ピストンや連接棒などの慣性によって生ずる振動防止をエンジン全体から見てアームを配置する。

 

1・10表

014-2.gif

弁調整をするときは、この着火順序に従って実施すれば無駄を省くことができる。

 

 

 

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