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なお、ここで取り上げる施設はいずれも、今後、美濃焼を核とした産業観光において、拠点的な役割を担っていくことが期待される施設であるので、これらの施設もしくはその周辺には観光拠点として、観光客が軽食をとったり休憩したりできる機能(以降「飲食機能」)が、付加されていくことが必要である。もちろん、こうした施設への飲食機能の付加は、行政のみによるのではなく、意欲ある民間人に委ねていく形でなされることが望ましい。

 

ア 知る

ここでは、展示品をみたり、それに付随する説明を見聞きしたりすることによって知識を得るという活動を中心にして述べる。

一口に知識を得るといっても、観光客が得ようとする美濃焼関連の知識には、様々なものが想定される。そこで、以下では、それぞれの施設がどのような内容をメインテーマとして展示して行くべきかという点も含めて方向性を示しておく。

 

(ア) 陶芸作品(美濃焼伝統産業会館(土岐市))

市の収蔵品なども活用し、古今の陶芸作家による美術的な価値の高い作品を中心に、美濃焼の作品鑑賞を行えるような展示を行う。陶芸について詳しくない観光客が訪れることも考慮して、展示品には、その作家名や製作年のほか、どのような点が比して優れているのかなどの鑑賞のポイントも含めた解説を付すべきである。もちろん、美濃焼伝統工芸品協同組合加入の陶芸作家によって作られた作品の販売も、引き続き行っていくこととする。

 

(イ) 陶芸の現場(美濃陶芸村(土岐市))

多くの陶芸作家が陶芸にいそしんでいる生の現場である陶芸工房が集中しており、今後、工房見学といった形で観光客の受け入れ体制が整備されていくことが、産業の生の生産現場をみるという産業観光の原点にある発想からして望ましい。隣接している美濃焼伝統産業会館で優れた作品をみた後に美濃陶芸村で工房見学、という形での観光ルートが出来れば、訪れる人に強い印象を与えることができ、強い誘客力をもつ観光資源となろう。

 

 

 

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