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多治見市は、美濃焼の生産もさることながら、その集積地として、卸・販売の地として栄えてきた歴史がある。そこで、これを活かして、美濃焼の売り込み、ことに美濃焼を使った食生活空間、食生活スタイルの提案などの情報発信を役割として担い、「豊かな食空間=美濃焼の使われている食空間」という印象を、消費者に印象づけていくことが望ましいと思われる。

瑞浪市には、往時の面影を残す旧中山道の宿場町大湫宿・細久手宿や、かつて当地が海底だったころからの2,000万年にわたる化石を展示する化石博物館、約46億年の地球の歴史をみせる地球回廊など、歴史を感じさせる多様な観光資源が分布している。そこで、こうした多様な観光資源を、美濃焼を核とした産業観光と結びつけることで、悠久の歴史が育まれてきた大地で美濃焼が産み出されていることを印象づけていくことが望ましいと思われる。

笠原町は、陶磁器タイルの生産が盛んな町である。また、同町は、誰もが心のなかで大切にしている「宝物」である「本物の心」を、「人からもらった忘れられない言葉」という形で届けてもらおうという「心のふるさと」づくりを進めている。そこで、これを活かして、陶磁器タイルを効果的に用いた住空間を提案し、「本物の心」が育つ心暖まる住まいづくりには、美濃焼の使用が不可欠との印象を与えていくことを、役割として担っていくことが望ましいと思われる。

以上のような大まかな役割分担の可能性を念頭に置きながら、産業観光を振興するために、具体的にはどのような施策に重点的に取り組んでいくか、今後、3市1町や県の行政担当者などの間で、検討を重ね調整をしていくことが望ましい。

なお、上では各市町の役割を明らかにするために、各市町それぞれの特徴を強調したが、この章の冒頭でも述べたように、3市1町は、いずれも美濃焼産地という共通点をもっている。観光振興を図っていくうえでは、観光客に対する宣伝が重要な意味をもつが、宣伝効果は、これに投じる金額の2乗に比例するともいわれる。各市町が単独で自らを宣伝するよりも、3市1町で一体となって進めた方が、その効果ははるかに大きいわけである。役割分担だけでなく、誘客に向けた宣伝活動などの面では、当然のことながら、歩調を揃え、連携してより大きな効果が得られるよう、努める必要がある。

 

(2) 施設ごとの連携・役割分担

本市及び周辺地域には、多くの美濃焼関連施設がある。これらの施設に期待されている機能は、大まかに整理すると、知る(学習)、買う(購入)、創る(体験)の三つに分けられる。そこで、この整理に沿って、以下のように、主な美濃焼関連施設の役割分担を提案する。無論、この役割以外の既往の役割を捨てよということではなく、この提案にある役割を中心に、今後、整理・拡充していってはどうかということである。

 

 

 

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